都市計画論文集
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北海道における明治初期に建設されたグリッド市街地の設計手法に関する研究
久保 勝裕安達 友広西森 雅広
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2015 年 50 巻 3 号 p. 539-545

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抄録
北海道殖民都市の多くは、グリッド市街地を形成している。これらは、明治期に確立した「殖民地区画制度」に基づいており、農耕地開拓のための原野区画と一体的に計画された。従って、その軸性は原野区画とそれと一致する場合が多いが、一部の市街地では、主要道路において「山当て」が構成される等、歴史的市街地のように周囲の景観を取り込むデザイン手法が導入されている。これらは、開拓の進展に伴って明治20年代以降に内陸都市として建設されたが、北海道では、明治10年代までに沿岸都市の市街地を整備した実績を持つ。近世市街地を基盤としていること、原野区画とは無関係に市街地単独で形成されたこと等が特徴であり、さらには、留学生らによる欧米の都市計画手法が持ち込まれる以前に実施されている点も重要である。本論では、こうした北海道の沿岸都市を分析対象としてその計画手法を分析した結果、主要道路において山当ての現象が確認された他、公共施設や寺社の配置が計画的に行われていたことを解明し、近世までの我が国固有の都市設計手法が導入されたと同時に、一部はその後の内陸都市の計画に受け継がれたことを明らかにした。
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© 2015 公益社団法人 日本都市計画学会
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