都市計画論文集
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岩手県釜石市、大槌町の津波被災からの事業再開・継続における事業用公設仮設施設の役割
益邑 明伸窪田 亜矢
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2016 年 51 巻 3 号 p. 423-430

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抄録

東日本大震災後、岩手県釜石市、大槌町では被災事業者の事業再開のために事業用公設仮設施設(店舗、工場、事務所等)(以下、仮設施設)が整備された。本研究は入居事業者に対する仮設施設の役割と課題を明らかにすることを目的とする。自治体へのインタビュー調査等により施設整備・運用方針と実態を概観し、入居事業者へのインタビュー調査から、入居事業者の事業再開・継続プロセスと仮設施設の関係を明らかにした。その結果、被災後の事業再開・継続において、仮設施設は空間的制約と資金的制約を解消する役割を担い、主に小規模な被災事業者の事業再開、事業環境の改善、事業変更を行う場として機能していた。 事業内容によって仮設施設に求める条件は多様であり、入居を望む期間が一様ではないことも明らかになった。 釜石市、大槌町では行政が主導して整備を行ったことで立地条件等への配慮も行われたが、対応できていない条件も存在した。

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© 2016 公益社団法人 日本都市計画学会
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