抄録
我が国の多くの都市では,立地適正化計画等の政策を通じて,居住地や都市機能の立地誘導を促す政策が各地で検討されており,都市内の人口分布予測や誘導施策の影響評価等は,今後,益々重要性を増すと考えられる.マイクロシミュレーションは,個人のライフイベントの発生や転居に伴う居住地変化を確率的に計算することによって,将来の世帯構造や人口分布を予測できる.しかし,国内外でこれまでも開発されてきたが,データの制約や計算能力の制約から適用範囲が限られていた.そこで,本研究では,約40万人の富山市を対象に,全市民を対象としたマイクロデータを用い,ライフイベントの発生に伴う世帯構造変化や居住地の変化を確率的に計算できるマイクロシミュレーションモデルを構築し,将来の人口分布を予測するとともに精度の検証を行う.