都市の持続可能性を高めるための対策の一つとして注目されている概念が混合土地利用である.しかし,混合土地利用の具体像はあまり明確ではなく,混合土地利用パターンの定量化についての検討は必ずしも十分とは言えない.そこで本研究では,一般的なポリゴン形式の土地利用図から用途間の空間関係に着目した混合度指標を提案し,市街地における混合土地利用パターンを定量的に測定することにより,より適切な地区分類の可能性を検討すると共に,混合土地利用が交通手段選択に与える影響を明らかにすることを目的とする.まず,隣接性,集積性,近接性の混合度指標は用途間の異なる空間関係を表しており,各指標とその組合せにより,土地利用パターンが説明できる有意な情報を持つ.次に,混合度指標の因子得点を用いたクラスタリングの結果,土地利用構成比が類似していても混合土地利用の様相の異なるパターンを区分することが可能となる.最後に,異なる用途との隣接による混合は自動車の分担率を高める一方,集積による混合はそれを低下させ,徒歩の分担率の向上に寄与する結果となり,同じ用途間の混合であっても空間関係によって影響が異なることが明らかになった.