2016 年 51 巻 3 号 p. 960-965
初期に開発された日本のニュータウンは現在、人口減少や施設の老朽化などの問題を抱えている。とりわけ、これらのニュータウンの商業施設として計画された「近隣センター」は苦境に立たされている。そこで、周辺エリアを含めて、商業環境の変化を丁寧に読み解き、生活拠点としての近隣センターの役割を再定位することは重要であると考えられる。 本研究では、以下の3点を明らかにした。1)ニュータウン内部に加えて、隣接地域を含めた商業施設立地から、当初近隣センターが担っていた商業機能の一部が外部に移っていること。2)近隣センターの機能変化として、小売店舗数が減少し、新たにNPOや福祉が新規参入している傾向があり、近隣センターによって、機能変化の程度に差があること。3)住民は距離的近接性を重視して近隣センターやコンビニを選んでおり、こうした実態は近距離施設の重要性を指摘していること。