2017 年 52 巻 3 号 p. 1327-1334
本稿では,任意の地点で等間隔で交差するn個の方向に移動可能な円盤状の都市領域について考える.このような道路網に沿った最短経路をn方向距離と定義する.領域内に起点・終点が一様かつ独立に分布するという状況のもとでの,n方向距離の分布とその平均および分散,直線距離との比の分布およびその平均と分散を導出する.最後に,得られた分布を東京圏の5つの地区において,道路距離の分布に対する最小二乗法による当てはめを行う.その結果,導出された分布により道路距離をよく近似できることが示された.