抄録
一次通勤圏では高齢単身・夫婦世帯が持ち家を賃貸活用した際に借り手がつく可能性及び、高齢単身・夫婦世帯が住み替え先を探した際にアフォーダブルな住み替え先を見つける可能性があると指摘されている。ただし、そのアフォーダブルな住み替え先である賃貸住宅の戸数は高齢単身・夫婦世帯の数より少ない。そこで、本研究は一次通勤圏において、民営賃貸住宅が市場原理で供給される可能性及び可能性を向上させる条件を整理することを目的に、民営賃貸住宅のLCCと収益を算出した。その結果、「平屋で3戸以上の規模であること」「主に地価の低い地域では、広すぎない面積水準の住戸の供給を検討すること」「建設費補助を受けられるように自治体が手続き支援を行うこと」の3点が民営住宅の供給促進条件として整理できた。また、これらの条件を全て満たすと、ほぼ全ての分析対象市区町村で収益性が確保できると算出された。