本研究では,道路斜線制限と天空率緩和が容積率と建築物高さへと与える影響を考察することを目的とする.様々な敷地形状ならびに建物形状を考慮することによって,当該制限ならびに緩和規定が容積率と建築物高さとどのような数理的関係にあり,かつ,積極的に緩和規定を用いるべき状況を明らかにする.当該条件が明らかとなることによって,建築設計の初期段階における作業効率向上が期待できる.本研究で得られた主な知見は以下のとおりである:(i) 天空率の利用が有利に働くのは,間口の広い敷地で,このときの建物形状は細長くなる;(ii) 奥行の深い敷地では,天空率緩和の場合だけではなく,道路斜線制限で多面体を想定した場合でも許容容積率をすべて消化できる.