2018 年 53 巻 3 号 p. 333-340
我が国では地域の教育力が低下したと言われて久しい。この背景には様々な要因が指摘されているが、いずれにせよ、少子高齢社会に突入した我が国において地域特性の変化に対応しつつも地域と子どもの関わりを維持していくためには、改めて地域と子どもの関わり方のあり様を捉え直す必要があるものと考えられる。そこで本研究では、このあり様を検討していくためにソーシャル・キャピタルに着目し、地域との関わりが子どもの発育に及ぼす影響を明らかにした。児童期において叱られたことなどの嫌な出来事があってもその形成にさしたる影響はなく、一方で日常交流や地元の地域活動への参加等は重要な要因であることが示されている。また、小学校期における総合的な地元との関わりや中学生・高校期においても地元との日常的な交流がなされていることがSC統合指数を高める上で重要であること、そして児童期を通じての長期的な関わりもSC統合指数をより高める上で重要であることを明らかにしている。