都市計画論文集
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53 巻 , 3 号
都市計画報告集
選択された号の論文の177件中1~50を表示しています
  • ニューヨーク市の製造業支援型開発業者に着目して
    諸隈 紅花, 窪田 亜矢
    2018 年 53 巻 3 号 p. 243-250
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は製造業が衰退したと一般的に考えられている大都市において、製造業維持方策を実現する方法を明らかにすることである。世界的な大都市であるニューヨーク市を研究対象として、1990年代以降に盛んになった製造業維持の考え方と主張を明らかにしながら、その思想を具体的に実現している製造業支援型開発業者に着目して、各々の事業者の特徴、分類、その展開、事業実現手法、歴史的な工業建築を含むストック(既存建築)の活用を含む実態を明らかにして、本事業の維持方策手法としての現時点での到達点と課題を明らかにする。対象とする開発事業者は主に非営利が中心ではあるが、営利で行っている事業者も存在し、公共と民間がその担い手となり民間からの資金調達や補助金を活用しながら、市内の約1/7の製造業雇用の維持に貢献している。そこには共通の開発・運営手法が存在し、事業者間でその手法が共有されている。歴史的資源の活用は意図的ではないが、事業活動資金の制約と空間の合理性から行われている。一方で、土地利用計画レベルで、工業地帯への住宅・商業開発の浸食を防ぐ手立ては行われないため、彼らの活動の拡大が難しい状況が確認された。
  • 明治期から昭和期における道後温泉地域を対象に
    小林 里瑳, 羽藤 英二
    2018 年 53 巻 3 号 p. 251-258
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,土地所有履歴を時間と空間両スケールで集約化し分析することによる,地域における新陳代謝メカニズムと空間変容の相互作用への理解を目的としている.研究を通じて以下の点を明らかにした.1)土地の所有形態分布はランクサイズルールに従い,寡占地主は分散して所有していた土地を取引を通じて集約する一方で,多くの地主が短期的所有を行なっている.2)寡占地主の土地再配分が地域の公共事業と関連し,地域の特徴的な空間を形成している.3)地割の変化しない街区がある一方で地割の大きく変化した街区が以降の土地利用に影響を与えている.
  • 1945-1980年の函館市・新潟市を中心として
    伊藤 涼祐, 松井 大輔
    2018 年 53 巻 3 号 p. 259-266
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は1945年から1980年の幕末・明治初期に開港した地方都市における港湾開発と土地利用計画の相互の展開を明らかにすることを目的とし、特に函館市と新潟市を対象として分析を行った。本研究の結果は以下に示す通りである。(1)2つの都市では、港湾の拡大と臨海部及び後背地で市街化が確認できる。(2)2つの港湾では、開港以降に港湾の改良、新たな港湾機能の拡充や交通施設開発の追加、工業機能や流通機能の拡大という順で開発が進展した。(3)2つの都市では、第二次世界大戦以前における港湾の計画に関連して、都市機能の集約と拡大が計画された。また、この都市機能の集約と拡大を市街地の拡大に関する要因と捉えたため、市街地の統制や整備が試みられた。
  • 旧吉祥寺村・西窪村・下連雀村を対象として
    山崎 美樹, 伊藤 裕久
    2018 年 53 巻 3 号 p. 267-273
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    現在のJR吉祥寺駅周辺市街地(東京都武蔵野市)は、近世に成立した新田集落のもつ短冊形地割が街区・街路形態に継承されており、近代以降の市街化過程の基盤となった。本稿では近世における短冊形地割の成立過程と、近世から近代へと引き継がれた短冊形地割の空間的特徴を具体的に明らかにすることを目的とする。そこで同時期に開発された旧吉祥寺村・西窪村・下連雀村を対象とする。寛文期の開発された三村は1657年に起きた明暦の大火後の住民移転による新田開発という歴史的経緯から、間口20間×奥行8間の奥行の浅い屋敷設定など、他の武蔵野の新田集落とは異なる共通性が見られる一方で、吉祥寺村では本宿(集落)と野田(耕地)と呼ばれる二種類の短冊形地割など、地域的な特徴があることが、寛文期の地割の復原的考察から明らかになった。また西窪村・下連雀村では、近世の間に人口増加へ対応するために、短冊形地割の間口が二分割され、宅地へと変換されていった。
  • 山中 謙介, 伊藤 裕久, 石榑 督和
    2018 年 53 巻 3 号 p. 274-280
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、江戸東京の都市形成と見附枡形門の建設から解体までの過程を明らかにしたものである。見附枡形門は防衛のため濠と道路の結節点に配置され、枡形の石垣と2つの門により江戸城や城下町に入るための門として機能していた。見附枡形門は均質に配置されていたと考えられているが、防衛の重要性に応じてその石垣の規模が決められ、石垣上の建物である「渡櫓」は、幕府の威厳を外部に見せつけることを目的にその規模が定められていた。しかし、明治以降の見附枡形門の解体では、すべてが均等に道路の障害物として扱われていた。
  • 戦前期東京の都市計画策定過程を中心に
    中川 嵩章, 真田 純子
    2018 年 53 巻 3 号 p. 281-288
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    戦前期都市計画では多くの都市が路線的商業地域を採用している.しかし,用途地域制を定めた市街地建築物法に路線的商業地域に関する規定はない.さらに,都市計画決定時の理由書では,都市ごとの実情を反映しない,いくつかの定型的な表現を多く用いる傾向にあるため,路線的商業地域を採用した計画意図は未だ充分に解明されていない.そこで本研究は,日本において路線的商業地域が計画に現れるに至った最初期の経緯に着目,路線的商業地域の計画思想の源流を明らかにすることを目的とし,分析を行った.内田祥三と笠原敏郎の考えによると,路線的商業地域の計画思想は,住居地域の利便性や生活の質の向上に主眼を置いたものであった.他方,東京都市計画策定過程からは,街路の体裁を整えるという観点と,土地の経済的な利用を促進するという観点から,両側に商店がすき間なく建ち並んだ格式の高い街路を目指し,路線的商業地域指定を用いたという複数の思惑が明らかになった.しかし,路線的商業地域の計画思想として,都市の範囲や商業地域の面積など,都市全体をコントロールしようとする意図はみられなかった.
  • 現状変更許可申請書(昭和6-8年)にみる京都府の風致行政
    谷川 陸, 山口 敬太, 川崎 雅史
    2018 年 53 巻 3 号 p. 289-296
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,風致地区内の現状変更許可申請書に記された具体的な事例をもとに,周囲の道路などからみた敷地の眺望に基づいて行為許可や行政指導が行われていたことを明らかにするものである.1931年から1933年までの風致地区許可申請書における京都府行政の指導内容から以下の結論が示された.山辺では,宅地造成の際,周囲の道路などの平地方面から望見される場所において,敷地の周囲や法面を丁寧に植栽し,敷地全体を隠蔽するよう指導が行われていた.水辺では,橋上や対岸などから見える敷地を隠蔽する河川・池方面への植樹の指導や,水辺に適した樹種の植樹の指導が行われていた.風致委員会答申の取締基準と答申以前の指導内容を比較すると,不許可の規定や建蔽率の指導などについて同様の内容が見られたものの,具体的な植栽の記述は基準ではほとんど省かれていた.これは各開発行為に対して現地調査や敷地の眺望に基づいて適切な指導が行われていたためであり,裁量行為の余地を広く残すためであったと考えられる.
  • 出村 嘉史
    2018 年 53 巻 3 号 p. 297-304
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、日本で初めて全面的な分流式下水道を実現した市である岐阜市を対象に、建設されるまでの過程を追い複雑に絡み合う諸般の事情を整理して、都市計画下水道事業の計画の実態を明らかにし、その計画のパースペクティブを把握し、それがどのような立場と体制によって形成されてきたものであるのかを明らかにすることを目的とする。全国で下水道事業が発展段階にあった昭和初期に、岐阜市長松尾國松と技師安部源三郎は下流を含めた広い地域的な水収支を視野にいれた技術的な解を、既存の排水計画の徹底した研究と現状の測量を実施しながら見出していった。鍵は市内を通過して下流の広大な耕地を灌漑する忠節用水の改良事業であり、県と国によって進められたこの計画内容を共有しながらこれを含めて初めて実現する分流式下水道計画を同時に進め、全国においても最先端のシステムを実現させた。この下水道建設事業は、都市計画事業の枠を用いているものの、実態は高い技術の導入に導かれた基盤整備事業であった。しかし、その事業が持ち得た視野は、極めて地方計画的なものであったことが指摘できる。
  • 歩行継続と地域活動への参加に着目して
    佐藤 宏亮, 和田 朋憲, 遊佐 敏彦
    2018 年 53 巻 3 号 p. 305-310
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    我が国においては高度経済成長期より大規模な郊外ニュータウンが建設されてきた。しかし、黎明期に建設された郊外ニュータウンは建設から50年近くが経過し、居住者の高齢化が進行していることが指摘されている。都市空間の高齢社会への対応は郊外ニュータウンの大きな課題となりつつある。そして、歩行を継続して健康を維持することができる生活環境が求められている。本稿では高度経済成長期に建設された郊外ニュータウンを対象として、健康な高齢者および要介護・要支援認定を受けた高齢者に対するヒアリング調査から、身体機能の低下に伴う外出行動の変化と、歩行の継続を可能にする要因を明らかにする。
  • 上杉 昌也, 安本 晋也
    2018 年 53 巻 3 号 p. 311-318
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は日本の都市における社会経済的な居住者特性と近隣生活施設へのアクセシビリティとの関係を明らかにすることで,空間的観点から社会的公平性について検討することを目的とする.対象地域として、社会経済的な居住分化が顕著な大阪都市圏を選んだ.第一に,複数の公共・民間の生活近隣施設へのアクセシビリティが各施設への最近隣距離によって計測されたが,米国でみられたような居住者の社会経済的水準の高さとアクセシビリティの良さとの相関関係は一律には支持されなかった.しかし,両者の関係は施設の種類や地区の人口密度によって変化することが明らかになった.第二に,主成分分析やクラスター分析を併用し,地区のアクセシビリティを総合的に評価することで,その地域的なパターンが可視化され,地区の社会経済的水準が低くアクセシビリティも不便な地域の存在も明らかになった.
  • 大平 悠季, 桑野 将司, 福山 敬
    2018 年 53 巻 3 号 p. 319-325
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    我が国の地方都市では,人口減少やモータリゼーションに伴う郊外化の進行によって,中心市街地の空き店舗が増加し,商店街が空洞化している.本研究は,中心市街地の魅力を向上させるための施策を検討する第一段階として,鳥取市をケーススタディとし,空間構造の観点からみて利便性の高い場所の土地利用状況の有効性を診断することを目的とする.分析に際して,中心市街地を訪問する人々の行動を直接観察するのではなく,ネットワーク理論や地理空間情報システム(GIS)を援用し,中心市街地の骨格を形成する街路や都市施設の空間構造の特性を表す客観的な指標に基づいた分析を通じて,潜在的ににぎわいが形成されやすい場所を明らかにし,中心市街地整備方策に対する示唆を導き出す点に新規性がある.分析結果より,対象地域では,歩行者・自転車による利用が多い施設の周辺では,施設のにぎわいが波及することによって空き店舗が少ない状況を維持できているのに対し,自動車利用が中心の施設である施設の周辺ではそのような波及効果が得られていないことがわかった.
  • 大阪5地区を対象として
    角田 優子, 横山 俊祐, 徳尾野 徹
    2018 年 53 巻 3 号 p. 326-332
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    大阪市内および周辺部に位置する住工混在地域より、立地と業種などの産業特性、住工混在程度の異なる5地区を抽出し、土地利用パターン、並びに、地区内の住民・工場主による住工相互の関係性や評価を明らかにする。具体的には、地区ごとに、住工混在率によって街区を区分化した地区単位の混在パターンと街区内建物配置による街区単位のパターンを図化した。さらに、工場被害意識、住まいや地域に対する意識に関するアンケート調査結果を実施した。それら、土地利用パターンと住工混在に関わる意識との間にいかなる関係があるのかを検討することで、住工共存の特性と成立要件を考察した。
  • 吉城 秀治, 辰巳 浩, 堤 香代子, 白井 颯太
    2018 年 53 巻 3 号 p. 333-340
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    我が国では地域の教育力が低下したと言われて久しい。この背景には様々な要因が指摘されているが、いずれにせよ、少子高齢社会に突入した我が国において地域特性の変化に対応しつつも地域と子どもの関わりを維持していくためには、改めて地域と子どもの関わり方のあり様を捉え直す必要があるものと考えられる。そこで本研究では、このあり様を検討していくためにソーシャル・キャピタルに着目し、地域との関わりが子どもの発育に及ぼす影響を明らかにした。児童期において叱られたことなどの嫌な出来事があってもその形成にさしたる影響はなく、一方で日常交流や地元の地域活動への参加等は重要な要因であることが示されている。また、小学校期における総合的な地元との関わりや中学生・高校期においても地元との日常的な交流がなされていることがSC統合指数を高める上で重要であること、そして児童期を通じての長期的な関わりもSC統合指数をより高める上で重要であることを明らかにしている。
  • 南池袋公園をケーススタディとして
    木村 希, 松行 美帆子, 中村 文彦, 三浦 詩乃, 有吉 亮
    2018 年 53 巻 3 号 p. 341-348
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    現在、コンパクトシティが人口減少時代の都市像の一つとして、その実現が求められているが、単に都市機能を駅近くに集積させただけでは、人が中心市街地に戻ってくるとは考えられず、中心市街地自身を魅力的な空間にする必要がある。その手段の一つとして、中心市街地における公共空間の設置があると考えられ、その意義を検証する必要がある。本研究は、中心市街地における公共空間の役割として、とくに周辺エリアのイメージの向上と回遊行動の助長に着目し、南池袋公園周辺においてアンケート調査を実施し、これらの効果があるかの検証を行った。分析の結果、公共空間の認知が周辺エリアへの愛着と防災の面からの安心感などの周辺エリアのイメージに対して間接的に影響を与えていること、公共空間に立ち寄ると回遊行動が助長されることが明らかになった。
  • 松山市「みんなのひろば」をケーススタディとして
    東川 祐樹, 松村 暢彦, 片岡 由香
    2018 年 53 巻 3 号 p. 349-356
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では、まちなか広場で行われる交流行為に着目し、社会ネットワーク分析により交流行為者間構造の定量的評価を行った。松山市の「みんなの広場」をケーススタディとした。その結果、幼年層・少年層利用者は出次数中心性、入次数中心性、フロー中心性において高い値を有する利用者の割合が大きく、広場の交流機能を高めるために欠かせない利用者であることが明らかになった。また、遊具設置エリアは入次数中心性が高い利用者による行為割合が大きく、交流行為の発生に寄与している空間となっていることを示した。
  • 籔谷 祐介, 椎野 亜紀夫, 斉藤 雅也, 柿山 浩一郎, 中原 宏
    2018 年 53 巻 3 号 p. 357-364
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は、数理的手法を用いて2つのまちづくり団体の役割構造を視覚化し、2つの団体を比較分析することによって各団体の特徴と課題を明らかにできるか検証することで、まちづくり団体の役割構造を解明するための手法開発を行うことである。本研究は、専門家によるまちづくり団体への支援として、役割構造を視覚化することにより、団体の課題特定とマネジメントの方向性を提示することができる点に意義がある。構成員の特性、性格、役割に関するアンケート調査を2つのまちづくり団体を対象に実施し、それらのデータを用いてコレスポンデンス分析とクラスター分析を行なった。その結果、布置図とレーダーチャートによって2団体の役割構造を視覚化し、各団体の比較分析によって役割分担の特徴と課題をある程度明らかにすることができた。ただし、対象とした2 団体共通の課題であった「主体的に企画を行う構成員がいないこと」を十分評価することができなかったことが今後の課題である。
  • スマトラ島シティウン地区の事例
    落合 知帆, リセリ ラプラス レゼンデ, 岡崎 健二
    2018 年 53 巻 3 号 p. 365-371
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    インドネシアにおけるトランスマイグレーションは、世界でも最も歴史があり、また最大規模の政府支援による移住政策として知られる。人口密集の軽減、貧困削減、生活レベルの向上、労働力の供給、森林開発への寄与等の成果が評価される一方で、森林破壊や入植者の貧困、住民と移住者間の紛争等が批判の基とされる。本研究の目的では、移住者の移住時から現在までの長期的な視点に立った移住者の生活実態や適応過程や現在の生活実態を、入植時から現在までの長期的な視点に立って把握明らかにすることである。調査地は中部ジャワのウォノギリ・ダム建設に伴い、1977年に移住民の受け入れ先となったスマトラ島シティウンとした。2015年から2017年にかけて現地調査を実施し、102世帯を対象にアンケート調査と実測調査の結果を分析した。移住当時の居住環境は決して恵まれていなかったが、基礎インフラの改善をコミィニティ活動によって成し遂げ、住宅の増改築や新築を行うなど、住環境が改善していることを明らかにした。
  • 本澤 絢子, 土肥 真人
    2018 年 53 巻 3 号 p. 372-377
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    近年欧米の都市を中心に、都市と周辺地域の連続する空間における食料の生産から消費、廃棄までの過程とそれに関わる様々な主体から成る「都市地域食システム」を構築しようとする動きが盛んになり、それを推進する基盤としてフードポリシーカウンシルが設立されている。本研究では、都市地域食システムの先進事例とされるカナダのオンタリオ州トロント市を対象に、フードポリシーカウンシルが及ぼす市・州の政策への影響について明らかにすることを目的とする。文献調査及びヒアリング調査から、フードポリシーカウンシルが様々な主体に直接的・間接的影響を与えたことで、市と州において「食」を主対象とした政策や法律が策定され、他分野の政策でも「食」の視点が組み込まれている。「食」は地域レベルや分野を超えた共通項となり、市と州の政策が連関し始めている。
  • 矢島 侑真, 十代田 朗, 津々見 崇
    2018 年 53 巻 3 号 p. 378-385
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    全国的に著名な棚田に比べ、大多数のその他では価値付けや保全活動の後押しが担保されにくい状況を踏まえ、本研究は、県レベルでもローカルな棚田を価値付けし、保全活動を推進できるのかを課題と共に明らかにすることを目的とする。対象は、県内の棚田を審査し選定する事業を行った6県とする。まず、各県の事業を比較分析の中で特徴がみられた岐阜県の棚田保全施策の変遷を追う。次に、事業で審査された各地域の保全活動の実態と展望をアンケートから明らかにする。価値付けと保全組織設立に関係がみられた4地域については、活動の展開と要因をヒアリングから分析する。その結果、(1)棚田選定事業は保全活動の推進を主目的としながら、岐阜県では保全が進んでいない地域に活動を普及する意図もみられた。(2)岐阜県では、価値付けを機に各地域の保全組織設立が促された。(3)県に登録した組織がある地域では、連携意欲や行政への期待を持っており、中には全国的な知名度がなくとも価値付けを機に保全活動を展開し、大手企業との協働を始める地域もみられた。(4)価値付けに加え、既存の組織の活用、補助金の持続、地域外組織とのマッチング支援の重要性が示唆された。
  • 石井町をケーススタディとして
    近藤 明子, 戸川 聡
    2018 年 53 巻 3 号 p. 386-391
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    少子高齢化と人口減少社会にある日本において、空き家問題は深刻である。古民家と呼ばれる歴史的な建物は、それらを好む一定程度の人がいる。一方で、古民家はほぼ存在せず、また、新築の建物を好む日本人の傾向を考慮すると、ある程度都市化された地域における空き家問題はより深刻である。本研究では、特に快活が困難である地方都市の中心地域周辺に着目し、ケーススタディ地域における空き家状況に関して、統計データとアンケートデータを用い現状把握を行った。さらに、モデルを構築することによって、地域の社会経済状況が空き家に及ぼす影響を定量的に明らかにした。これにより、空き家になってからの期間や外観からの判断、内部の状態との関連性が低いことを明らかにするとともに、家屋所有者の今後の意向も整理した。モデルについては、空き家の状態や数に対して、人口や商業、交通利便性などが及ぼす影響を定量的に明らかにした。
  • 愛知県を対象として
    高取 千佳
    2018 年 53 巻 3 号 p. 392-399
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    低出生率と高齢化による人口縮退社会において、コンパクトシティ政策は持続可能な都市経営や生活環境の向上において重要として注目されている。コンパクトシティの目標を達成するには、どういったターゲット(主体)が、どのような要因を基にどういった場所へ社会移動するかに関する知見が必要である。本研究では、(1)年齢階層別の人口社会増減の実態分析、(2)人口社会増減に有意に影響する空間指標の解明による多様な主体の居住選択の要因の考察を行った。結果、子育て世帯、高齢者、若者の3因子別に、異なる空間指標との相関が高いことが分かり、居住誘導政策への基礎的知見が得られた。
  • 都市機能誘導区域図と将来都市構造図の整合性に着目して
    甘粕 裕明, 姥浦 道生, 苅谷 智大, 小地沢 将之
    2018 年 53 巻 3 号 p. 400-407
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では立適の都市機能誘導区域を都市MPの将来都市構造図の拠点と比較し、類型化を行い関係性を把握し、両計画間における実態と課題を明らかにすることを目的とする。結論として、両計画に関して半数以上の自治体で両者が一致または準拠する形で区域設定が行われていることが分かった。一方で、半数近くの自治体が、都市MPと整合しない区域設定を行っていることも明らかになった。これらの自治体は、拠点指定されていない場所に区域設定を行っている新設型と、同じ位置づけの拠点のうち一部に区域設定を行っている戦略的選定型に分けることができる。このような不整合は、計画制度論的に立適は「都市MPの一部」であり「都市MPに内包される計画」とされている両者の関係性に鑑みると、問題であるといえる。したがって、立適を都市MPと整合する形で定めるか、または都市MPを立適に整合するように改定することが求められる。新設型、選定型それぞれが新設、選定している拠点をその機能に応じて、「都心拠点新設型」「生活拠点新・増設型」「生活拠点選定型」「特定機能拠点新設型」「特定機能拠点選定型」の5つに分類する事で、これらの自治体の実態と課題を明らかにした。
  • 宇都宮市をケーススタディとして
    渋川 剛史, 浅野 周平, 十河 孝介, 森本 章倫
    2018 年 53 巻 3 号 p. 408-415
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    人口減少時代に突入した我が国では、少子高齢化の進展も著しく、持続可能な都市構造への転換が急がれており、各自治体で「立地適正化計画」の策定及び、本計画に基づく都市構造の転換に取り組んでいる。また、本計画では、およそ5年毎に計画の進捗を評価・見直しが要請されているが、施設誘導や公共交通サービスの改善に対する面的な評価は、把握できるデータの制約などから、十分な評価ができていない。一方で近年、携帯電話基地局データなどにより、施策実施前後の中心市街地などに滞在する属性別人数の変化を把握することが可能となっている。そこで本研究では、立地適正化計画の適切な進捗管理の実践に向け、既存指標の課題を整理し、課題に対応する評価指標として携帯電話基地局データの活用方法についてケーススタディを通じて検討を行った。
  • 井坂 和広, 村木 美貴
    2018 年 53 巻 3 号 p. 416-422
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    我が国の豪雪地帯では、雪対策の実施による移動しやすい都市空間の形成が求められている。そのため、除排雪作業の実施や融雪施設を整備することが推進されている。しかし、雪対策に係る費用は近年上昇傾向にあるため、経済性を考慮した雪対策の実施が求められている。そこで本研究の目的は、融雪施設を活用した雪対策のあり方を経済性の観点から明らかにすることとする。本研究はまず、雪対策の現状の調査を行い、それを踏まえて想定される雪対策と融雪施設整備が冬期の都市空間に与える効果を経済性の観点から明らかにするものである。その結果、堆積場への雪の運搬費用削減と地域熱供給を活用した融雪施設整備が重要であることが明らかとなった。
  • 浦田 愛永, 後藤 春彦, 山村 崇
    2018 年 53 巻 3 号 p. 423-430
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では東京都心部に位置する園庭をもたない保育施設を対象に、保育者の語りを収集することで園外活動のねらいを把握した。また、地域資源の活用状況と散歩コースの分析により、園外活動の空間的な広がりを示し、ねらいとの相関を確認した。その結果、園外活動の機会が多い保育施設は、保育者が献身的に公園に限らない多様な地域資源へと足を運んでいることが明らかになった。また、保育者は安全性と児童の発達状況に合わせた学びの充実を担保するように園外活動の経路をデザインしている。今後、周辺地域が保育者の意向を理解し園外活動空間となる地域資源を積極的に提供していくこと、地域資源の保育の場としての利用方法を伝えていくことが、育児の場としての都市の価値を高めるであろう。
  • 小泉 恒紀, 中井 検裕, 沼田 麻美子
    2018 年 53 巻 3 号 p. 431-438
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    水質、景観、生態系等に関する水利権として制度化された環境用水は、想定されている効果の他に、用水としての現代的な多面的効果を発揮し、市民という新たな受益者の顕在化により、用水及び地域の持続性へ寄与する可能性を有する。これを踏まえ本研究は、環境用水が用水及び市街地へ与える多面的効果を明らかにし、今後の環境用水のあり方を考察することを目的としている。環境用水水利権の取得地区3件にて調査を実施した結果、水利権取得のために実施された市民参加プロセスが市民主体の人的ネットワークを構築し、通水後は流域における新規及び既存主体の協働により、新たな活動や効果が連鎖的に発現している状況が明らかとなった。このことから環境用水は、かつて用水流域に存在していた水を利用する主体間の秩序やネットワークを、用水の通水や管理を通じて再構築し、現代的な多面的効果を用水流域へ創出する装置として捉えられる。環境用水による効果を最大化させるためには、環境用水に関する施策を水利権取得という目的に留まることなく、地域におけるまちづくりの手段として位置付けることが重要であり、それによる用水を軸とした流域ガバナンスの構築が期待できる。
  • 細田 隆, 瀬田 史彦
    2018 年 53 巻 3 号 p. 439-444
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    近年、地方自治体のスポーツ政策の新たな展開の一つとして、全国で地域スポーツコミッションが設立されている。地域スポーツコミッションは、地域活性化を目的に活動している組織であり、地方公共団体、企業、スポーツ競技団体等が、連携して取り組んでいる。地域スポーツコミッションの設立の意義は、多様な主体がスポーツによる地域活性化という目的を共有することのできる、プラットホームを構築することである。本論文では、近年、全国で設立が進む地域スポーツコミッションがどのように活動を推進し、地域の活性化に取り組み、効果を挙げているのか明らかにするとともに、地域スポーツコミッションによる地域活性化のあり方を明らかにすることを目的とする。
  • 三宅 諭, 大瀧 英知
    2018 年 53 巻 3 号 p. 445-452
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    東日本大震災から7年が経過し、復興まちづくりも新しい局面に移行しつつある。本稿は、野田村の6年にわたる都市公園事業を取り上げ、小学校、中学校、高校と協力して取り組んだプロセスと、それを実現可能とした村の体制、その成果を明らかにしている。野田村の事例から、計画策定だけでなく継続的に関与する機会を設けることは、子ども達が地域への愛着と誇りを持つ心を育むとともに、未来の担い手としての意識を持つことにもつながることがわかった。またいくつもの主体が関わる複線的プロセスを総合的に運営することで、運営管理体制が構築されたように、復興事業後の課題と対峙し、それに向けた対策を講じることも可能であることがわかった。
  • 習志野市のコミュニティ政策を事例として
    青木 和也, 西澤 貴文, 鎌田 元弘
    2018 年 53 巻 3 号 p. 453-458
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本論文は、コミュニティ自治組織及びそれに対する人的支援制度の先駆的事例である千葉県習志野市を対象に、地区連合町会とコミュニティ自治組織の二重構造による課題解決の実態と、行政による人的支援施策の機能について調査したものである。その結果、地区連合町会では地縁型の事業を中心とする傾向、コミュニティ自治組織ではテーマ型の事業を中心とする傾向が見られた。また、それらに対する行政による人的支援の機能として、地域担当職員が各課題を予算化して解決する機能、市民・行政間のコーディネートをする機能が明らかとなった。従って本研究では、行政による人的支援により、地区連合町会とコミュニティ自治組織が相互補完関係を形成していることがわかった。
  • 大阪駅周辺5地区を含む梅田広域エリアを対象として
    向井 雅人, 嘉名 光市, 蕭 閎偉
    2018 年 53 巻 3 号 p. 459-465
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    日本の中心市街地では、開発重視の「つくる」時代から、エリアマネジメント(以下、エリマネ)を重視する「育てる」時代へと移り変わってきた。特に、大都市中心市街地のような複数のエリマネ団体が集積する地域では、エリア価値の向上など共通の課題に対して、各組織が既存地域の範囲を超える幅広い地域でネットワーク化することが求められる。本研究では、複数のエリマネ団体を包括したエリマネ団体を「広域団体」と定義し、広域団体とエリマネ団体間との活動実態や変遷を把握する。大阪駅周辺の梅田広域エリアにおける広域団体とエリマネ団体が連携した活動を事例に、「場所」、「人」と「出来事」に着目した結果、「場所」、「人」においては拡大と収束する時期が重なっている事が分かった。更に時系列の「出来事」の変遷も踏まえ、全体の活動を「団体準備期」、「団体成長期」、「質的充実期」の3つに分類することが出来た。一方で、(1)運営制度(2)連携の継続が課題として示された。今後、梅田広域エリアにおいて連携を用いたエリアマネジメント活動の継続には、活動の質の向上や、行政との連携による規制緩和、新たな連携材料の獲得が欠かせないことが示唆された。
  • 田邉 信男, 氏原 岳人, 阿部 宏史
    2018 年 53 巻 3 号 p. 466-473
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    NPO等が地域の課題解決に取り組む市民活動に対して、市民から集めた寄付金をNPO等に助成する市民ファンドへの期待が高まってきている。しかし、「市民主体」の市民ファンドは、設立間もない団体が多く、事業活動を行っていく上での市民ファンド育成が課題と述べているが、その課題の詳細は明らかにされていない。そこで、本研究では「市民主体」の市民ファンドに着目し、市民ファンド組織運営の解決策を検討する際の知見を得ることを目的として、アンケート調査を通じて、市民ファンド組織運営上の課題を分析・考察した。その結果、市民ファンド組織運営上の課題を明らかにし、その組織運営の解決策を提言した。
  • 地域創生スクールの二年間の取り組み
    平田 徳恵, 清水 哲夫, 川原 晋, 岡村 祐
    2018 年 53 巻 3 号 p. 474-481
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は,多摩地域の自治体職員の情報処理や地方創生の政策立案能力の向上を目的とした研修プログラム「地域創生スクール」の設立背景と自治体職員が修得すべき能力,および東京都多摩地域の自治体職員の参加にて開催した地域創生スクールの実施状況とその成果・課題について論じている.修得すべき能力として4つのデータ力,これらを高めるための5つの技術を設定し,カリキュラムを開発,第1期,第2期において各11名の参加を得て,その効果や課題を検証した.その結果,体感的に理解できる内容でないと理解度が高くならないこと,演習やグループワーク時間増加の要望が強いこと等を明らかにした.またRESASの使用について,必要と考える自治体職員が多いが,自治体内での周知度は低く,多くの自治体では庁内で恒常的に使用できない等の課題があることが分かった.
  • 市川 尚紀
    2018 年 53 巻 3 号 p. 482-487
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では、全国の水辺の民間事業者による利用事例の中で、広島の水辺におけるオープンカフェ事業に焦点を当て、2004年の社会実験開始当初から2016年度までの13年間の収支報告と事業内容を整理分析し、河川空間での民間事業者による飲食店利用の効果と課題を検証した。その結果、以下のことを明らかにした。まず、国土交通省公表の河川空間のオープン化活用事例全41事例の内、民間事業者が占用主体となって活用しているのは12事例であった。これらは、従来のバーベキュー場やキャンプ場利用の事例と一体に扱われ、特例措置を利用した社会実験の成果が曖昧になっていた。また、広島における水辺のオープンカフェは、これまでに4種類のイベントが実施されていた。その事業スキームの特徴として、事業者支払う協賛金によって、水辺のにぎわいを創出するイベントや環境整備などが行われていた。また、京橋川では左岸にも2店舗を新設、元安川では、店舗利用者数が開店当初より倍増していた。しかし、立地環境が悪く閉鎖した店舗もあることがわかった。
  • 東京都江東区清澄白河での社会実験の経緯と実態
    松尾 夏奈, 志村 秀明
    2018 年 53 巻 3 号 p. 488-494
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、公共空間としての川床の創出を促進するための知見を得ることを主眼として、研究対象としているかわてらすLの開設経緯と利用実態を、各関係者へのヒアリング調査、利用者への観察調査とアンケート調査により明らかにする。本研究により得られた結果は以下の4点である。第1に、かわてらすの複数の事例は、建築基準法上の扱いがそれぞれ異なり、かわてらすLは、河川法の手続きのみで扱う工作物とし、建築確認を不要とした。協議の際に自治体との調整に時間がかかったため、自治体と民間事業者と地区組織による協議組織が存在すべきといえる。第2に、かわてらすLの利用者数は、レストランによって増加しており、かわてらすLはレストラン利用者に限らず、多様な利用があり、公共空間として利用されている。第3に、レストランや川への眺望の良さは、かわてらすLが利用されるきっかけとなっており、水辺空間の利用を促進するといえる。第4には、利用者のかわてらすLに対する公共空間としての認識は、全体的に高い。以上のことから、かわてらすLは公共空間としての川床創出の一つの方法を示しているといえる。
  • 江東内部河川における西側河川を対象として
    北村 佳恋, 後藤 春彦, 高嶺 翔太, 馬場 健誠, 林 書嫻
    2018 年 53 巻 3 号 p. 495-502
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    近年、都市において都市河川と河川環境の重要性が認識されるようになってきている。しかし都市部における河川整備や利活用の立地に着目すると、その多くは観光地・商業地であり住宅地では行われていない。今日 QOLへの社会的関心が高まっていることを考慮すると、今後は既成住宅市街地でも河川空間の利活用が進むことが望ましい。 また利活用に向けては、河川と市街地の接点である河川管理用通路の開放が必要であり、それに向けては沿川建物の特性と一体的に考えていくべきである。 そこで、本研究では、これら2つの関連を調査し、河川管理用通路と沿川建物の特性との関係性を明らかにすることで河川管理用通路の開放やアクセス性の向上への課題や可能性を論じることを目的とする。 結果、以下の所見が得られた。 1)沿川の住民のプライバシーと防犯上の懸念が河川管理用の開放を妨げている。 2)河川北側に位置するベランダ、建物用途に商/工併用住宅が多いこと、などの沿川建物の特性と河川管理用通路の実態との関係があり、住民のプライバシーや防犯意識がそのような特性をもっている区間において強く作用している。
  • 武田 重昭, 蒋 雅瓊, 加我 宏之, 増田 昇
    2018 年 53 巻 3 号 p. 503-509
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、シンガポールにおけるパークコネクターについて、機能や沿線土地利用などの視点から、整備特性を明らかにしたものである。完成年代別の整備特性としては、当初は都市環境に潤いを与えること等が重視されていたが近年ではより多様で複合的な機能が付加されていることを明らかにした。また、当初は水域に沿って整備されることが多かったが、近年では道路に沿って整備されることが多いという整備の特性を明らかにした。地域別の整備特性としては、地域の環境条件に応じた整備がなされていることを明らかにした。
  • 愛甲 哲也, 吉本 文香
    2018 年 53 巻 3 号 p. 510-515
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    緑の基本計画は、緑地の計画および保全、管理運営と緑化の基本方針を市町村が定める計画である。この計画は、公園緑地だけでなく、地球環境問題から社会的課題など様々な問題への対応が期待されている。しかしながら、市町村の策定数は半数にとどまっている。本研究は、北海道の市町村における緑の基本計画の策定状況と、緑地の保全と緑化における課題について明らかにすることを目的とした。各市町に、緑の基本計画の策定および改定の状況について、質問した。その結果、人口規模の小さい市町では未策定の場合が多く、その理由として問題の少なさ、人員や予算の不足が指摘された。策定済および未策定の市町の両者で、同様の緑地と緑化の問題を抱えており、国や北海道による支援が必要だと考えられた。
  • 幹線道路整備と農家の土地所有に着目して
    木村 達之, 大方 潤一郎, 村山 顕人, 真鍋 陸太郎
    2018 年 53 巻 3 号 p. 516-521
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    近年、都市部における農地の価値が見直されてきており、2017年には新しい用途地域「田園住居地域」が創設された。これは、第1種低層住居専用地域の用途・形態規制に農業関連施設の建築許可と農地の開発規制を加えたものであるが、低層住宅地に限定した一律的な農地保全施策が市街地環境・農業環境双方にとって最適な農地配置に資さない可能性もある。そこで本研究では、生産緑地に限定せず都市農地全般を対象として、大都市近郊における農地の減少や転用の実態を把握し、都市農地保全施策に関連した土地利用計画上の課題を明らかにすることを目的とする。その際、農地の立地特性を捉える枠組みとして、用途地域指定の一般的な傾向を踏まえ、中高層市街地を目指す幹線道路沿いの「沿道農地」と幹線道路に囲まれた地区内に存在する「居住環境地区内農地」に区分して考察を行う。
  • 東京都練馬区を対象として
    佐竹 春香, 斎尾 直子
    2018 年 53 巻 3 号 p. 522-528
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    都市農地は、都市開発が激しく展開されたバブル経済期には不要なものと見なされていたが、2000年代には都市住民が農活動に積極的な参加をみせるなど、都市農地に対する評価は転換した。一方で都市計画上保全するものとして位置付けられた生産緑地は減少し続け、さらに地区指定更新の2022年を機に大量消失してしまうことが懸念されている。本研究では、東京都練馬区を対象に生産緑地の転用に関する議論の変遷、地図分析による地区指定以降の生産緑地転用後の土地利用経年変化、ヒアリング調査と現地調査による農業の経営形態の変化と空間変容の考察から、生産緑地転用の実態と都市農地保全に向けた課題を明らかにすることを目的としている。2章では、2022年を目前に生産緑地転用をめぐる各種議論について新聞・雑誌記事調査を行ない、生産緑地転用に対する視点の変化を明らかにした。3章では、1992年の地区指定から2016年までの生産緑地転用の経年変化について地図分析を行ない、転用後の土地利用実態の課題を考察した。4章では、営農を継続している農家を対象にヒアリング調査と現地調査を行ない、農業経営多角化の実態から農地保全の課題を考察した。
  • 都市縮退との関係に着目して
    栗本 開, 飯田 晶子, 倉田 貴文, 横張 真
    2018 年 53 巻 3 号 p. 529-536
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,人口減少基調にある東京都八王子市を対象に,生産緑地所有者への悉皆的なアンケート調査を通じ,所有者の生産緑地の維持・貸与意向と意向に影響を及ぼすと推察される因子,およびこれら意向の空間的傾向の把握を行い,今後の都市縮小時代における都市農地の維持方策の方向性を考察した.その結果,既往研究で指摘されていた個人属性とは別に,立地属性である地価と周辺農地率が独立して生産緑地の維持意向と正の関係にあることが示された.日本では集約型都市構造が志向されているという点に着目すると,特に都市農地が失われる危険性が高い,地価と周辺農地率がともに低いエリアにおいて,生産緑地の貸借の推進による農地維持が求められることが示された.反対に,都市農家の生産緑地の維持意向が高い傾向にある,地価と周辺農地率がともに高いエリアでは,画一的な居住誘導を進めるだけでなく,都市の構成要素として都市農地を認め,農地と住宅地の共存による良好な住環境の形成を図ることが今後の可能性の一つとして示された.
  • 森田 翔, 大沢 昌玄, 中村 英夫
    2018 年 53 巻 3 号 p. 537-543
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    駅前広場は、バスやタクシー、一般車から鉄道への乗り換え拠点であり、人が集まる空間である。さらに人だけでなく、駅前広場に面して立地する商業施設や駅ナカ商業施設が存在し、それらに対する物も集まる場所である。しかし、駅前広場周辺の建物への荷捌きが駅前広場の一般車スペースや車道で行われている状況も見られ、そのことが駅前広場の交通に悪影響を与え、駅前広場内の空間が混雑するといった悪循環が生じている。そこで本研究は、駅前広場の分類を行った上で現地調査を行い、駅前広場における荷捌き車両の駐車実態を把握する。そして得られた結果より、駅前広場における荷捌き車両の駐車特性の整理分析を行い、駅前広場における荷捌き車両対策案を示すこととする。その結果、一般車よりも荷捌き車両の駐車台数が多い駅があることを確認することができた。駐車する荷捌き車両の車種別の分析より、2t車両が一番多く、次いで自動販売機補充車であり、駅によっては自動販売機補充車の滞留時間が非常に長かった。今後の駅前広場の設計や面積算定式において、荷捌き及び荷捌き車両について検討する必要があるのではないかと考える。
  • 香月 秀仁, 東 達志, 高原 勇, 谷口 守
    2018 年 53 巻 3 号 p. 544-550
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    近年,自動車利用には「シェア交通」「自動運転化」という2つの大きな潮流が見られる.この2つの要素が組み合わさったシェア型自動運転交通"Shared-adus"は郊外地域における将来的なモビリティサービスとして期待される.現状の自家用車保有台数より少ない車両数で運行でき,従来まで必要とされた駐車スペースが削減できることが期待される.本研究では,Shared-adus導入に伴う駐車時空間の削減効果を地域特性と併せて把握した.主な結果以下の通りである.1) 導入地域全体では現状と比較して約7割の駐車時空間が削減できる.2) 駐車時空間の削減量は人口密度が比較的高い地域において大きくなる.3) 駐車時空間の削減率は工業地域において高くなり,業務地域において低くなる.
  • 東 達志, 香月 秀仁, 谷口 守
    2018 年 53 巻 3 号 p. 551-557
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    近年,Mobility as a Servise(MaaS)や自動運転車といった新しい移動サービスが次々と登場しており,人々の交通行動や都市活動が大きく変化しつつある.その変化に伴い,都市構造や土地利用も変化することが考えられるが,その影響は未だ不透明である.本研究では,MaaSの重要な構成要素になりうる自動運転車によるシェア交通“Shared-adus”の郊外地域への広域的導入を想定し,異なる都市構造でのShared-adusの運行効率を算出し比較した.その結果,1) 都市機能を現状より集約させることでライドシェア成立割合は増加するが,必要車両台数や車両走行時間は増大する傾向が見られた.また,2)都市構造の変化がShared-adusの運行効率に与える影響の大きさやその傾向は,地域によって異なることが示された.
  • 公共交通の利便性に着目して
    森本 瑛士, 伊藤 将希, 谷口 守
    2018 年 53 巻 3 号 p. 558-564
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    人口減少が進むと全ての拠点で一定水準以上の都市機能を確保することは困難となることから,拠点間で都市機能を分担し,公共交通での拠点間移動を通じて補完していく必要性がある.特に地方都市では人口減少の影響が大きいことから市町村間の連携が必要とされている.本研究では公共交通での拠点間移動可能性を複数の市町村を含む範囲で把握することで,今後都市機能の拠点間補完を考える際の一助とすることを目的とする.分析の結果,現状の公共交通サービス水準で都市サービス施設を拠点間補完できる箇所がある一方,拠点間移動を促すのに運行頻度が十分でない公共交通が多いことも示された.あわせて他市町村の拠点に移動することで享受可能な都市サービス施設数がどの程度増加するかという市町村間連携のポテンシャルを提示した.
  • 乗換施設の複合化に着目して
    長瀬 健介, 中井 検裕, 沼田 麻美子
    2018 年 53 巻 3 号 p. 565-572
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では、地方中核都市におけるバス路線の再編に伴い、新たに発生する乗換拠点についての現状、ならびに複合化に向けた課題を明らかにした。地方都市における公共交通を維持するために、バス路線を整理して効率化を図る取り組みが多くの市で存在する。だが、それに伴い系統が分断されるため乗り換えが新たに必要となる地域もあり、乗り換えを行う場所の整備はその抵抗の削減に欠かせないものと考えられる。そこで本研究では、乗換拠点の他機能との複合化に着目し、整備の現状調査を行った。アンケートによって対象自治体のおよそ半数で乗換拠点の整備計画があることがわかった。しかし、市街地から離れた地域の乗換拠点では利用状況は芳しくなく、複合する施設との連携等を含め、乗換拠点を活かした効率的な運用が必要となる。また、現状は既存のネットワークを活用した立地選定のもとに整備されている乗換拠点が多いことがわかった。今後は複合化を目指した乗換拠点整備が進むと考えられるが、官民連携には多くの課題があり、どちらにもメリットがあるスキーム作りが求められる。
  • 21都市における現地調査に基づいて
    松中 亮治, 大庭 哲治, 井手 秀, 立花 拓也
    2018 年 53 巻 3 号 p. 573-580
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    近年、モータリゼーションの進展や人口減少・高齢化により都市は様々な問題を抱えている。それらの問題を解決するにあたりコンパクトシティの考え方が注目されており、また魅力的な都市中心部を創造するために歩行者空間を整備する都市も多い。そこで本研究では、都市中心部の歩行者空間の賑わいは公共交通到達圏人口と関連性があることを明らかにするため、21都市を対象とした現地調査によって都市中心部の歩行者空間の賑わいを定量化し、交通モード別の到達圏人口を算出した。分析の結果、自動車到達圏人口は歩行者空間の賑わいにほとんど影響を与えないのに対し、公共交通到達圏人口は強く影響していると考えられる。都市中心部を活性化させるためには公共交通機関の沿線に人口を集約し、アクセス性を向上化させることが有効であることが示唆される。
  • 荒尾市地域公共交通網形成計画を例に
    溝上 章志, 尾山 賢太
    2018 年 53 巻 3 号 p. 581-588
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    コンパクト+ネットワークを実現するためには,立地適正化計画に整合した地域公共交通網形成計画の策定が必要であり,それを支援するような需要予測や計画評価手法の開発が求められている.本研究では,熊本県荒尾市で立案された立地適正化計画と地域公共交通網形成計画を例に,路線バス沿線住民の活動目的別外出頻度モデルと都市機能施設の立地に関する変数を導入した手段選択モデルを構築し,立地適正化計画に整合したバス路線網の利用需要の予測と計画評価を行う方法を提案した.さらに,持続的なバス運行を可能にするための通過ルートや料金の設定方法についても提案し,その有用性を検証した.
  • VRツールを用いた歩行空間評価の特性把握
    中村 一樹
    2018 年 53 巻 3 号 p. 589-596
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    モータリゼーションによって引き起こされた様々な問題の対策として,歩行促進への関心が高まっているが,この行動転換の促進は容易ではない.そこで本研究は,VRを用いて国内外の歩行空間に対して歩行ニーズに基づく歩行空間評価を行うことで,疑似体感型Walkability評価の特性を把握することを目的とする.まず,文献レビューから,歩行空間評価における視覚ツールの特徴の整理と,評価軸となる歩行ニーズの評価項目の整理を行う.次に,一般動画とVR動画の歩行ニーズ評価と行動意欲の評価を比較し,視覚ツールとしてのVR評価の特徴を把握する.最後に,VRを用いて国内外のより多様な歩行環境を比較し,歩行ニーズ評価と行動意欲の評価における意識構造を把握することで,VRに歩行促進の効果があるかを検証する.
  • 長 晃, 馬 東来, 高原 勇, 大澤 義明
    2018 年 53 巻 3 号 p. 597-602
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,コストシェア型ライドシェアを想定し,スター型ネットワークにおいて,ライドシェアのマッチングがいかに成立するのか空間や時間の概念を明示的に組み込み解析的に考察した.モデル分析を通して得られた主たる結論は以下の2点である:第一に,中心に近いトリップほど,ライドシェアを享受できることをマッチング成立確率で示した.このことは,ライドシェアが拠点に近いほど有利なことを示しており,内発的なコンパクト化を誘導できることを意味する.第二に,中心地での乗り換え効果が大きいことを平均マッチング待ち回数の期待値を通して明らかにした.これは,乗り換えをライドシェアが拠点形成に寄与できることを客観的に示している.
  • 一般化線形混合モデルを用いた分析
    藤本 典志, 大山 智也, 雨宮 護
    2018 年 53 巻 3 号 p. 603-609
    発行日: 2018/10/25
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    総合リユース店舗では,限られたスペースで利益を増やすために,商品棚の並べ方,すなわちレイアウトがしばしば複雑なものとなる.複雑化したレイアウトは,空間的に見えにくい箇所をつくり,結果として万引きを引き起こすこととなる.本研究の目的は,総合リユース店舗における万引きと店舗レイアウトの関連を明らかにすることである.私服保安員へのインタビューを通じて,商品特性やレジからの可視性に関わる変数が見出された.これらの変数について11の実店舗内で測定,POSデータをもとに算出した商品ロスの情報と統合した.店舗間・店舗内の差異を同時に考慮した一般化線形混合モデルによる分析の結果,レジからの監視の重要性,および万引きを誘発する商品特性が明らかになった.
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