抄録
本研究では産業活動の場の再建に資する復興都市計画の在り方に示唆を得るため、岩手県、宮城県の津波被災地を対象に、事業者の事業活動と、復興区画整理事業による市街地再整備、産業用仮設施設の公的整備との関係を明らかにすることを目指す。多くの津波被災自治体で実施された復興区画整理事業は、工事完了までに長期間を要している。事業区域には被災前多くの事業者が立地しており、その復興プロセスは一時的な建築制限の影響を受けていると示唆される。産業用仮設施設の公的整備は、その間の事業者の事業継続を支える役割が行政で事後的に認識されている。大船渡市の大船渡駅周辺地区では、復興区画整理事業の建築制限に先立って、産業用仮設施設の利用等、事業区域内で事業再開する事業者が多数存在した。被災前の中心市街地は、被災後も空白ではなく、暫定的な利用がなされていた。都市基盤再整備段階と本設可能段階の事業再開の選択肢とその間の移動が部分的に明らかになった。事業区域の近傍に産業用仮設施設を整備し、かつ施工を工夫することにより、仮設から本設へ連続的に市街地利用が継続され、市街地利用の回復が促進される可能性がある。