都市計画論文集
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ブータンの国民総幸福度指標(GNH Indicators)の変遷に関する研究
指標の目的および構成の発展過程について
山下 修平高見沢 実
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 54 巻 2 号 p. 102-113

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抄録

本研究は、ブータンにおける国民総幸福度(GNH)指標の目的及び構成の発展過程を、資料解析により考察したものである。目的分析にはコミュニティ指標の類型理論及びISO9001(品質マネジメントシステム)を、構成分析には指標数・割合、主成分分析、及びコレスポンデンス分析を用いた。その結果GNH指標は、当初からコミュニティ指標及びISO9001双方の目的を網羅的にカバーしていること、並びに物質的豊かさに比べて健康・教育・民主化・地域の活力・伝統文化から得られる幸福感を注意深く観察できる構成が強化されてきたことがわかった。このように指標を考察・作成することは、幸福度向上を目指す都市がPDCAを回し追求したい価値を実現するうえで有益と考えられる。また具体例として、少子高齢化や多文化共生等に直面する都市では、従来わが国の都市計画法の主要な目的でなかった“地域の人々との関係性”を指標に配分することが想定できる。

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© 日本都市計画学会
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