本研究では、岩手県釜石市・大槌町を対象として、津波常習地域のリアス式海岸集落における空間整備とそれに伴う集落内の居住地形成パターンを明らかすることを試みた。集落の人口規模や立地特性別に、空間整備として津波復興・津波防災施設、漁港関連施設、道路を中心とした交通ネットワークの整備、公共施設立地過程を把握した。この結果、主要幹線道に近接する集落においては、開発可能性を有する場合は、都市的居住地の開発が発生することを明らかにした。また、後背地が少ない集落における集落内の環境整備の実施が行われている点、半島に立地する小規模漁村においては、漸次的な漁港関連整備と交通ネットワークの改善が図られてきたものの、空間整備の過程で半島内の集落間で有していた階層が再編されつつあるされたことなどを明らかにした。