都市計画論文集
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独居高齢者の「孤独感」と生活行動の関係
東京都練馬区むつみ台団地を事例にして
伊藤 日向子後藤 春彦山村 崇
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2019 年 54 巻 3 号 p. 1200-1207

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抄録

独居高齢者の増加が社会の趨勢として避けられない中、独居しつつも周囲との繋がりを実感でき、生活の質を保ったまま老いていくことができる社会を実現することは喫緊の課題である。本研究の目的は、独居高齢者の生活行動と孤独感の関係を解明し、独居であっても孤独を感じずにいる人々の生活行動の特徴を明らかにすることにある。それによって、孤独感の解消に資する都市空間を実現していくために、介入の根拠となる基礎的知見を構築する。特定の住宅団地を対象にアンケート調査を行った結果、対人交流と外出行動に関する項目が孤独感と相関を示す要素として明らかになった。さらに、補足的なヒアリング調査から、様子確認ができる親密な人の存在に加えて、生活に余暇外出(とりわけ、徒歩30分圏内で行う日常的な散歩)を取り入れることが重要であるということが、孤独感を低減させる上で重要であると示唆された。「社会的孤立」の解消には家族以外による共助・公助の確立が課題となっている一方、「孤独感」は散歩など余暇外出を生活に取り入れることで改善できるとすれば、余暇外出行動を促進する都市環境を整えることで、一人暮らしの「孤独感」を低減できる可能性がある。

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