本稿では,不便益(不便だからこそ得られる効用)の観点から,飯塚本町商店街とどのようなかかわり方をすれば,飯塚本町商店街への愛着や満足度,再利用意向にポジティブな影響を与えられるのかを検討していくものである。上記の事項を検証するために,2017年と2018年に飯塚本町商店街を巡るイベントを大学生対象に行い,調査を行った。その調査結果を分析したところ,飯塚本町商店街への愛着,満足,再利用意向は商店街をある程度の制限を与えたうえで自由に巡らせた場合(不便益条件)においてポジティブに改善されるということが示された。また,不便益は「選好(個人的な嗜好の観点から当該地域を肯定的に評価する程度)」に関わる愛着を醸成する上で有効に働く要因であることも示唆された。