都市計画論文集
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大都市近郊旧漁師町における空間構造変容と土地所有動態に関する研究
千葉県浦安市元町地域 堀江地区・猫実地区を例に
永門 航窪田 亜矢
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2019 年 54 巻 3 号 p. 1351-1358

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抄録

大都市に近接して立地し、高度成長期に劇的な漁業衰退(漁業権放棄と漁協解散)を経た「大都市近郊旧漁師町」では、漁師町時代には水辺での高密度集住がみられた反面、現代では密集市街地として住環境上問題視されるようになった地域も多い。本研究では、その一例である浦安市元町地域を対象に、高密度集住がみられた範囲(集住域)の空間構造変容と土地所有動態から、その固有の空間変容を明らかにすることを目的に分析、計画的施策を含めてその変容を説明した上で、固有のコモンズ的空間である「道庭」も手がかりにしながら、 土地所有動態と空間構造を関連づけて論じ、都市化を踏まえた現代なりの計画的施策に活かせる示唆につなげた。空間構造としては、漁師町時代の地割から「川沿い」と「非川沿い」の構造を見出し、「川沿い」では早くから更新が進み変容が大きい一方、 「非川沿い」で漁師町時代から細分化していたものが現代にも継承されている状況を示した。さらに「道庭」について、流動的な土地所有動態を背景として成立したのではと考察、「道庭」的な利用かの継承が街区内部の市有地の活用に繋がっていると示した。

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