都市計画論文集
Online ISSN : 2185-0593
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国土計画にみる「新たな公」への道のり
栗田 卓也村木 美貴
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 54 巻 3 号 p. 1372-1378

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抄録

本研究では、新たな公(新しい公共)の考え方が、政府の政策にどのように位置づけられてきたのかというテーマをとりあげる。政府の政策意思の最も重要な決定、表現手法である閣議決定において、新たな公の考え方が位置づけられた嚆矢は、国土形成計画(2008年閣議決定)である。国土計画の系譜の中で、どのような思想発展を遂げてきたのかを研究することは、新たな公の政策への位置づけへの流れを理解し、それが日本社会のあり方とどう関係するのかを考える上で、有益と考えられる。本研究では、地域経済の下支え機能を公共投資に依存することなく、地域社会の持続可能性、自立性を確保するための仕組みとして、多様な主体が公共的役割を果たしている実態も踏まえた国土形成計画の検討過程を子細に振り返っている。そこでは、政府部門の補完という受動的な位置づけにとどまらず、受益者から供給側への転換等を通じて、個人の満足度を高めるといった新しい公共の多面的な意義とともに、政策への位置づけの大きな転換の有り様が示される。

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© 日本都市計画学会
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