本稿は、コカナでのネパール震災後約4年の復興を事例に、2015 年11月から2019年3月に行った現地調査に基づき、ネワール集落保全に向け、民家再建の実態とその建設規定に関する課題を明らかにすることを目的とする。研究の方法として、コカナの概要と震災後の復興を時系列に整理して変化と現状を明らかにし(第2章)、再建された新築民家に着目してその実態を明らかにする(第3章)。最後に、ネパールの文化財保護行政と都市計画行政の現状をそれぞれ整理し、震災後制定された歴史的集落における建設規定の内容を概観して、現時点でのネワール集落保全に向けた民家再建の建設規定に関する課題を明らかにする(第4章)。