2019 年 54 巻 3 号 p. 562-568
近年、地上設置型太陽光パネル(以下、地上ソーラーとする)の市街化調整区域および農地への設置が進行している。本研究では市街化調整区域における地上ソーラーの立地実態を明らかにすることを目的に、大阪府南部地域を対象に地上ソーラーの仕様や農地転用の発生状況に着目して立地場所の立地特性を分析した。その結果、地上ソーラーの発電出力規模が大きくなるにつれて、土地条件および立地条件のより劣る傾斜地や交通利便性の低い土地に立地が進行し、発電出力400kW以上の地上ソーラーの立地場所は、他用途の開発行為の発生場所よりも土地条件および立地条件が劣る傾向がみられた。そのため、400kW以上の地上ソーラーを環境影響評価条例における対象行為に追加することが立地規制・誘導策の1つとして挙げられる。また、農地転用許可を伴った地上ソーラーは、連担する複数の農地内の土地形状が歪な農地に孤立して設置される傾向がみられたため、土地の賃借等による農地の流動化の促進や、営農型太陽光発電設置の促進により、形質や機能を変えずに農地としての連担性を確保するなどの対策が必要と考えられる。