都市計画論文集
Online ISSN : 2185-0593
Print ISSN : 0916-0647
ISSN-L : 0916-0647
ダマスクス1968年計画におけるヘレニズム基盤の再構築事業
松原 康介
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2019 年 54 巻 3 号 p. 630-637

詳細
抄録

本研究では、既往研究による新事実の発見としての「進化型計画論」を踏まえ、1968年のダマスカス都市基本計画の旧市街政策を、交通政策の視点だけでなく、ヘレニズムからイスラームへの「進化」という独自の歴史意識の結果と位置づけ、その全体像を明らかにすることを目的とする。ユネスコによる批判が交通計画への批判に限定されており「古代都市の再構築」という壮大な構想に対しては未評価であることを示した上で、2章で68年計画中の「古代都市」に関わる記述を抽出し、既往研究とも照合して、そのヘレニズム基盤としての特徴を以降の参照系として提示する。3章では、イスラーム時代の空間変容と重層化について既往研究から概略する。4章では、デガジュマンと呼ばれる街路開削・拡幅の実際について、68年計画のテキストと、関連して発表されたエコシャールや番匠谷による雑誌記事、及び計画図の分析から明らかにする。5章では、批判にも関わらず2019年現在において「古代都市の再構築」事業は一部が進展しており、その現状を補足的にレビューし評価の参考とする。結論において、ヘレニズム基盤の再構築事業の全体像を考察し、今後の事業の展望を明らかにする。

著者関連情報
© 日本都市計画学会
前の記事 次の記事
feedback
Top