2019 年 54 巻 3 号 p. 967-974
本研究は、(1)公共空間としてのストリートの機能及び都市政策上の位置付け、(2)ストリート空間の利用実態、(3)運用状況に対する利用者意向を明らかにすることにより、都心部における公共空間としてのストリートの役割とその実態を明らかにした。対象地は、国内の代表的近代街路の1つである横浜市の日本大通りであり、70年代の都市デザイン政策以降、都心の「緑の軸線」の一部として位置付けられてきたストリートである。2000年代再整備の計画主体への聞き取り、利用者に対する観察調査およびアンケート調査等を実施し、日本大通りの機能は複数回の再整備を経て、歩行者活動に考慮して更新されてきたことを示した。また、利用者はイベントによるにぎわいだけでなく、地域によりマネジメントされた景観と緑陰による日常の快適性を評価していると明らかになった。これらを総括し、国内ストリートの再整備プロセスにおいては、こうした快適性にも配慮した包括的デザイン実施を重視すべきという結論を導いた。