都市計画論文集
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公共交通サービス水準および公共交通利用の向上に資する市街地形状に関する実証的研究
大門 創
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 55 巻 3 号 p. 1211-1218

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抄録

本稿の目的は,市街地形状が,公共交通サービス水準および公共交通利用に与える影響を実証的に明らかにする.さらに,市街地形状をコントロールするための,既存の都市計画関連制度の課題と方策を整理する.その結果、第一に,①同じ面積,人口,公共交通財政支出でも,市街地の形状によって公共交通運行本数や公共交通分担率が大きく異なること,②市街地の規模が大きい都市では,市街地形状が公共交通利用に与える影響は大きいこと,③当初市街化区域の指定状況の如何によらず,その後拡大した市街化区域の空間特性(線形か円形か)によって,市街地形状指標は大きく変化し,ひいては公共交通サービス水準および公共交通分担率にも一定の影響を与える可能性があること,④地方都市において,市街化区域拡大の空間的配置に配慮することによって,相当程度の公共交通分担率を改善させることができること,が明らかとなった.第二に,市街地形状をコントロールするためには,既存法制度を前提とした場合でも,市街地形状を歪曲化させることはある程度可能だが,公共交通ネットワークを再編する場合や,新しい公共交通軸を新設する場合には,限界があることが明らかとなった.

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