都市計画論文集
Online ISSN : 2185-0593
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商店街活動の連鎖的展開をもたらす人と組織のネットワークの構造的特徴
岐阜市柳ヶ瀬及び美殿町商店街を対象として
堀口 拓治出村 嘉史
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 55 巻 3 号 p. 1386-1393

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抄録

本研究は、実際の商店街における人的ネットワークの変遷に焦点を当て、継続的な協力と挑戦を可能にする特徴的な構成を示すものである。ケーススタディとして岐阜県柳ヶ瀬商店街と美殿町商店街における過去20年間の人の関わりを調査し、ネットワーク分析により活動の連鎖反応のメカニズムを説明した。この研究では媒介中心性が著しく高い、つまり「偏差が大きい」立場にいる人物は、さまざまな個人から情報を収集し易いと同時に、その周囲にいる個人に対して新しい活動の開始を促す役割を果たしていた。発生する新しい活動は周辺の個人間につながりを形成するため、偏差の大きかった人物の偏差は減少するものの、別の個人の偏差が高まり、次の活動を始動する機会を得る。この商店街の経験において、基本的に同様の構成から連鎖反応が起こり、全体として持続的な活力を示していることが確認できた。

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© 日本都市計画学会
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