都市計画論文集
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イギリス・リバプール市における低未利用地の緑地的活用施策の現状に関する考察
守谷 修
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2020 年 55 巻 3 号 p. 737-744

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抄録

20世紀後半以降、人口減少や地域経済の衰退等による都市の縮退は、日本のみならず欧米の各都市で発生している。都市の縮退に伴って生じる低未利用地が課題となっている一方、これらを都市において新たな緑地を創出するための好機と捉え、積極的に活用していく必要性が指摘されている。そこで、本研究では、都市の縮退を経験したイギリスの産業都市の中でも特にリバプール市を事例に、低未利用地の緑地的活用施策の現状を把握・整理し、日本への示唆について整理することを目的としている。文献調査や市担当者等へのヒアリング、国内事例である柏市のカシニワ制度との比較分析から、本研究は主に以下の点を明らかにした。(1) コミュニティガーデン等による低未利用地の緑地的活用に対する行政の支援は、助成や土地所有者と市民団体等との仲介があり、基本的に住民に近い区単位で実施されている。(2)財政的支援は多様であり、行政だけでなく、宝くじ基金、健康医療機関、企業等から行われている。(3)市民団体等への技術的支援は、社会的企業やNPO等の中間支援組織により提供されている。

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