都市計画論文集
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平成の30年で交付金はどのように進化したのか
地方創生関係交付金とふるさと創生交付金との比較
萩行 さとみ大澤 義明
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 56 巻 1 号 p. 1-13

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抄録

地方創生の主たる施策の一つである「地方創生関係交付金」は、今から30年程前に各自治体に1億円ずつ配分された「ふるさと創生事業」以来の大胆な自治体向けの交付金事業であるが、この30年でどのように変わったのだろうか。本研究では、両交付金を対象に歴史的背景の考察、人口規模や面積等によるジニ係数の比較、テキストマイニングによる事業名の比較によりそれぞれ比較考証した。結論として、次の3つが得られた。第1に両交付金は配分方法が異なるにも関わらず、住民1人あたりの交付金額の偏在度の差異は僅差である。第2に地方創生関係交付金の獲得の有無には、「財政力指数」、「周辺自治体の平均獲得件数」が統計的に有意であること示めした。第3に両交付金の事業タイトルをテキストマイニングを用いて分析したところ、事業テーマはハード事業からソフト事業へ移行していることが分かった。さらに対応分析から、ふるさと創生のような国主導の方が、より自由度の増した地方創生より地域性をより反映していることを可視化した。

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