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地方創生関係交付金とふるさと創生交付金との比較
萩行 さとみ, 大澤 義明
原稿種別: 研究論文
2021 年 56 巻 1 号 p.
1-13
発行日: 2021/04/25
公開日: 2021/04/25
ジャーナル
フリー
地方創生の主たる施策の一つである「地方創生関係交付金」は、今から30年程前に各自治体に1億円ずつ配分された「ふるさと創生事業」以来の大胆な自治体向けの交付金事業であるが、この30年でどのように変わったのだろうか。本研究では、両交付金を対象に歴史的背景の考察、人口規模や面積等によるジニ係数の比較、テキストマイニングによる事業名の比較によりそれぞれ比較考証した。結論として、次の3つが得られた。第1に両交付金は配分方法が異なるにも関わらず、住民1人あたりの交付金額の偏在度の差異は僅差である。第2に地方創生関係交付金の獲得の有無には、「財政力指数」、「周辺自治体の平均獲得件数」が統計的に有意であること示めした。第3に両交付金の事業タイトルをテキストマイニングを用いて分析したところ、事業テーマはハード事業からソフト事業へ移行していることが分かった。さらに対応分析から、ふるさと創生のような国主導の方が、より自由度の増した地方創生より地域性をより反映していることを可視化した。
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人口規模の視点からの地域の意義や環境の分析
石田 佳織, 宮田 まり子, 辻谷 真知子, 宮本 雄太, 秋田 喜代美
原稿種別: 研究論文
2021 年 56 巻 1 号 p.
14-23
発行日: 2021/04/25
公開日: 2021/04/25
ジャーナル
フリー
保育・幼児教育施設による地域活用について質問紙調査を実施し、施設が属する市区町村の人口規模との関係から分析を行った。その結果、人口規模の大きい地域では動物園などの博物館施設を多くのが利用し、人口規模の小さい地域では田畑やあぜ道を多くの施設が利用するなど、その所在地域にある環境を活かして保育を行っていた。また人口規模に関わらず、利用場所は従来注目されてきた「公園」だけでなく、「田畑やあぜ道」「小学校」「神社や寺・教会」「森林や山」もよく利用していた。これらの場所はそれぞれ物理的環境の特性を持ち、施設もそうした特性を活かしたねらいや目標を持っていた。地域活用の課題としては、人口規模に関わらず交通量の多さや利用できる場所の少なさが問題となっていた。一方で人口の多い地域では人に関する課題、人口規模の小さい地域では目的地までの距離など場所や環境に関する課題が挙げられた。
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松戸市小金原地域を対象に
松村 優, 真鍋 陸太郎, 村山 顕人
原稿種別: 研究論文
2021 年 56 巻 1 号 p.
24-31
発行日: 2021/04/25
公開日: 2021/04/25
ジャーナル
フリー
外出は高齢者が自立して生活していく上で重要な要素である。本研究では徒歩による外出に関わる街路や施設配置などの市街地環境に着目し、外出の阻害要因および促進要因を明らかにすることを目的とした。高齢化が進む郊外計画住宅地である小金原地域において市街地環境の客観的調査・アンケート調査・ヒアリング調査を行ったところ、主に「坂道・公共交通不便という阻害要因があること」、「いつでも立ち寄れる行き先という促進要因が無いこと」が外出を妨げていることが明らかになった。よって、外出しやすい環境の実現には、坂道でも歩けるような休憩場所の整備・コミュニティバスの導入・行き先となる集い場の整備の優先度が高い。また、身体状況に不安がある高齢者は阻害要因を、健常高齢者は促進要因を重視するという傾向が見られた。身体状況により意向が異なることを考慮し、阻害要因の解消・促進要因の創出の両面からアプローチすることが望ましい。
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屋外試験歩道の2つの舗装における歩行行動の比較から
羽野 暁, 樋口 明彦, 榎本 碧, 原田 大史, 佐々木 裕大
原稿種別: 研究論文
2021 年 56 巻 1 号 p.
32-42
発行日: 2021/04/25
公開日: 2021/04/25
ジャーナル
フリー
屋外空間における視覚障害者の歩行支援として、筆者らは白杖の打音を用いた音による誘導に着眼し、一般的な舗装材と音響特性が異なる木材を舗装に用いた「木製バリアフリー歩道」を考案した。本研究は、この開発研究における最終フェーズとして、実用化標準断面に基づき屋外に実装した試験歩道において42名の視覚障害者を対象に歩行実験を実施し、行動観察により歩行支援機能を検証したものである。アスファルト舗装部とスギ板舗装部の二種類の舗装区間にて実験した結果、アスファルト舗装部を開始点とした歩行実験において27名の被験者が歩車道境界に近づき7名の被験者が車道に飛び出した。一方、スギ板舗装部を開始点とした歩行実験においては26名が歩車道境界に近づいたが、車道への飛び出しを全員が回避した。さらに、歩車道境界を白杖のみで認識し足踏を必要としない被験者が、アスファルト舗装部と比較してスギ板舗装部においてより多く確認できた。これらより、スギ板舗装がアスファルト舗装と比較して視覚障害者の車道飛び出し防止に有効であることが分かった。
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鎌田 佑太郎, 松中 亮治, 大庭 哲治
原稿種別: 研究論文
2021 年 56 巻 1 号 p.
43-53
発行日: 2021/04/25
公開日: 2021/04/25
ジャーナル
フリー
本研究は外出先別に加齢に伴う訪問頻度の変化を定量的に把握したうえで,訪問頻度の変化が1日平均歩数に及ぼす影響を明らかにすることを目的に,2016年と2018年の2時点の1日平均歩数と都市公園や商業地区といった外出先別の訪問頻度の変化を把握し,これら訪問頻度の経年的な変化が1日平均歩数に及ぼす影響を分析した.その結果,徒歩のみの外出中における中心市街地,運動施設・都市公園,商業地区への訪問の頻度の増減,自転車および公共交通による外出中における中心市街地への訪問の頻度の増減が1日平均歩数の増減に影響を及ぼすことを明らかにした.
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ベルリン市の政策の潮流理解とグライスドライエック公園の事例調査を基に
太田 尚孝, 新保 奈穂美
原稿種別: 研究論文
2021 年 56 巻 1 号 p.
54-62
発行日: 2021/04/25
公開日: 2021/04/25
ジャーナル
フリー
本稿の目的は、再統一後のベルリン都心部の大規模市立公園に関わる政策潮流とグライスドライエック公園の事例調査から、マクロ・ミクロの実態を明らかにすることである。包括的な文献調査と2019年9月に実施した現地調査、インタビュー調査から、以下の3点が明らかになった。1.再統一後のベルリンでは、段階的に市立公園の量的・質的充実化が実施された。2.グライスドライエック公園では、継続的な市民参加と公共セクターとの協働により従前の土地利用を活かし、かつ多世代型・多目的型の公園が実現化した。3.ベルリンでは市立公園の整備や管理運営は公共主導と理解できるが、背景や考え方は必ずしも本調査では明らかになっていない。
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松中 亮治, 大庭 哲治, 井手 秀
原稿種別: 研究論文
2021 年 56 巻 1 号 p.
63-72
発行日: 2021/04/25
公開日: 2021/04/25
ジャーナル
フリー
近年、日本の地方都市では公共交通の利便性低下や中心市街地の空洞化といった問題に直面している。そのような状況下で、「コンパクト+ネットワーク」は都市を持続可能なものとする方策のひとつとして注目されている。本研究では、日本の36地方都市を対象として現地調査により賑わいを定量化し、その要因について人口規模別に分析した。その結果、人口規模によらず賑わいは自動車密度とほとんど相関がみられないこと、自動車到達圏人口は賑わいにほとんど影響をしないのに対し公共交通到達圏人口は強く影響することを明らかにした。
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松中 亮治, 大庭 哲治, 米田 光佑
原稿種別: 研究論文
2021 年 56 巻 1 号 p.
73-84
発行日: 2021/04/25
公開日: 2021/04/25
ジャーナル
フリー
本研究では,津波,地震,洪水,土砂災害の四災害について,現在と将来における災害曝露人口を算出し,その経年的変化を定量的に明らかにした.また,同様の分析を都市圏別,都市計画上の地域区分別に行うことで,災害リスクの変化をより詳細に評価した.そして,現在の将来人口推計よりも,さらに三大都市圏に人口が集中した場合,ならびに,地方に人口がより分散した場合について,災害曝露人口の増減を推計した.その結果,三大都市圏に人口が集中した場合,仮に被害レベルを考慮した上で人口の移動を誘導したとしても,四災害全ての災害リスクを低下させることはできないが,地方に人口が分散した場合,四災害全ての災害リスクを低下させることが可能であることを明らかにした.
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豊島区・足立区・大田区に着目して
青木 公隆, 出口 敦
原稿種別: 研究論文
2021 年 56 巻 1 号 p.
85-97
発行日: 2021/04/25
公開日: 2021/04/25
ジャーナル
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本稿では、東京23区における空き家増加の課題に向けた政策と実施方法に焦点を当て、公民連携による空き家の利活用に関する取組みを対象とする。特に、空き家利活用の先進的な事例である能動型モデルに着目する。本稿では、東京都区部の各区における空き家対策を網羅的に整理した上で、独自の手法を積極的に実践している自治体である豊島区、足立区、太田区を調査し、そのプロセスと方法の観点からそれぞれの区の能動型モデルにおける民間と連携する行政の役割と課題を明らかにする。また、他の空き家利活用事業と比較して能動型利活用の優位性の評価や、能動型利活用の持続的展開を示し、最後に行政による能動型利活用の実施に向けた課題や要件を示す。
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用途地域制導入についての社会的背景として
中川 雄大
原稿種別: 研究論文
2021 年 56 巻 1 号 p.
98-104
発行日: 2021/04/25
公開日: 2021/04/25
ジャーナル
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本稿は、浅野セメント深川工場の問題への対応の分析を通して、近代日本における用途地域制の導入過程を明らかにするものである。用途地域制そのものに焦点を当てた既存研究は、当時の社会状況にしか触れておらず、なぜ用途地域制が当時の社会に受け入れられたのかについて十分に説明することができていなかった。そこで本稿では、社会史の視点を導入することによって、深川工場の煤煙問題が「都市化」によって引き起こされたものであるという認識が、都市計画家だけでなく新聞紙上においても用途地域制が必要であるという認識をもたらしたことを明らかにする。そして、そのような用途地域制が東京の東西の土地の性格を制度的に決定づけたことを示す。
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Rattanakosin島におけるBanglumphu地区およびTha Tian地区を対象として
中川 真紀子, 嘉名 光市, 蕭 閎偉, Supagtra Suthasupa
原稿種別: 研究論文
2021 年 56 巻 1 号 p.
105-112
発行日: 2021/04/25
公開日: 2021/04/25
ジャーナル
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グローバルツーリズムの時代において、観光地化は、経済の発展や雇用機会を創出する一方、外部資本の流入や雑多な事業の介入を招きかねない。そこで、既存の生業や地域空間を保全活用することは持続可能な観光開発にとって重要であると考える。タイ・バンコクは近年の観光地化が著しく、特に、Rattanakosin島は、政府による歴史的建造物の保全や観光開発が行われ、バンコクの主要な観光地として位置づけられている。本研究は、Rattanakosin島の歴史ある2つのコミュニティに着目し、地価や土地利用などの空間的側面と、住民や政府、コミュニティ組織、事業者といった地域関係者の意識と関係性から観光地化の実態を解明した。
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行政と住民へのインタビュー調査をもとに
後藤 智香子, 近藤 早映, 林 和眞, 小泉 秀樹, 三木 裕子, 辻 麻里子
原稿種別: 研究論文
2021 年 56 巻 1 号 p.
113-121
発行日: 2021/04/25
公開日: 2021/04/25
ジャーナル
フリー
近年、保育施設の開設を巡って地域社会から反対の声があがっている状況を踏まえ、本稿では特に住宅市街地内の公園を活用して施設を整備した際に地域社会から反対の声があがった事例に着目する。そして、行政の保育施設整備担当者と住民へのインタビュー調査をもとに整備の実態を明らかにした上で、整備の手続きや要件について考察する。具体的には、各事例について、保育施設整備に関する自治体の計画、公園の状況(空間面・利用面)、施設計画、行政が当該公園を選択した理由と経緯、地域住民への計画公表から収束までの経緯、争点と対応、開設後の状況に着目して、整備の実態を明らかにした。最後に、地域住民参加型の計画プロセスの必要性、公園の利用実態や場所の価値の把握の必要性、残された公園の管理運営や代替公園の整備もあわせて計画する必要性という観点から整備の手続きと要件を考察した。
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非集約エリアの遠郊外住宅地における居住の持続可能性と未利用地の管理・活用に関する研究
原田 陽子
原稿種別: 研究論文
2021 年 56 巻 1 号 p.
122-130
発行日: 2021/04/25
公開日: 2021/04/25
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本研究を通して主に以下の点が明らかになった。1)X団地では、未利用地が74%であり、その内の約76%が雑草や樹木が繁茂している。2)居住者の多くは雑草等が生い茂った空き地が多いことや車がないと移動しにくいことに困っている。3)不在地主の多くは高齢者で県外の人も多く、所有地への訪問頻度の少ない人も多い。不在地主の土地入手の動機では、資産として購入などが多く、今すぐにでも売却したいと思っているが売れないため所有地を持ち続けている人が多い。4)X市は土地の寄付を受け入れてきたが、維持管理費がかかるため事実上X団地の土地は対象外となり、集約化も頓挫した。5)雑草等管理事業に対して、不在地主に一定のニーズがあることが明らかになったが、一方で無関心な不在地主や連絡先の分からない不在地主も多い。
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ソーシャル・キャピタルと運転スタイルの影響に着目して
張 宇陽, 橋本 成仁
原稿種別: 研究論文
2021 年 56 巻 1 号 p.
131-141
発行日: 2021/04/25
公開日: 2021/04/25
ジャーナル
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携帯電話の使用による漫然運転は、自動車事故の原因となる危険性があり、そのような危険を排除するためにも、運転中の携帯電話の使用に対する態度に影響する要因を研究する必要がある。本研究では、Web調査を通じて収集された338の有効サンプルを用いており、分析手法としては構造方程式モデリング(SEM)を適用した。安定した運転スタイル、予防運転スタイル、ソーシャル・キャピタルは、携帯電話の使用による注意散漫な運転に対するドライバーの態度への影響を評価するために、モデルの外因性潜在変数として決定された。その結果、ソーシャル・キャピタルは運転スタイルに影響を与える有効な要素であることが示唆され、また、運転スタイルは携帯電話を使用する漫然運転に対する態度とも関連していることが示唆された。
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歴史的市街地周縁部の近代市街地の真正評価に向けて
清山 陽平, 神吉 紀世子
原稿種別: 研究論文
2021 年 56 巻 1 号 p.
142-151
発行日: 2021/04/25
公開日: 2021/04/25
ジャーナル
フリー
雑然と映ることの多い近代スプロール市街地における歴史や特色をいかに捉えることができるか。本研究では京都・伏見旧城下町周縁部に位置する中書島南新地を対象に、文献や地図、空中写真、旧土地台帳を資料に用い、その異なるスケールにおける複数の成立経過を細やかに明らかにした。その上で、実際の雑然とした市街地空間をつくる不揃いな道に着目し、それぞれの差異が異なる成立経過に因るものとして説明できた。さらにそうした複雑な成立経過の重層は、歴史的市街地周縁部に位置する近代スプロール市街地である南新地ならではの特色として判断できた。これによって一見雑然と映る現在の市街地空間を、南新地ならではの特色が現れた状態と評価できることが明らかとなった。
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福岡県久山町を対象として
浅野 純一郎, 小笠原 聡
原稿種別: 研究論文
2021 年 56 巻 1 号 p.
152-161
発行日: 2021/04/25
公開日: 2021/04/25
ジャーナル
フリー
本研究は2000年代初頭以降、市街化調整区域の地区計画の運用を、行政区域内の土地利用管理の中心に据えてきた久山町を対象に、将来の人口増加を想定しながら調整区域地区計画を運用し続ける同町の近年の状況を明らかにし、調整区域地区計画のあり方を検証することを目的としている。同町では、2003年の都市計画マスタープランとの整合性により、調整区域地区計画の運用をスタートしたものの、人口フレームも含め、基本的枠組みを同じくしたまま、2020年に至っている。本研究の結果、新規開発は着実に流入するものの、旧集落の人口減少も同時に進行するため、当時の人口フレームが過大になっている懸念や、地区施設整備の進捗が進まない場所がある中で、実質的なスプロールの進展等が問題視された。その上で、そもそも調整区域で人口増加を想定する是非について論じた。
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栗田 治
原稿種別: 研究論文
2021 年 56 巻 1 号 p.
162-177
発行日: 2021/04/25
公開日: 2021/04/25
ジャーナル
フリー
需要が連続分布で与えられた2次元平面上に同一種類の複数施設を想定し,住民の施設選択確率を非集計ロジットモデルで与える.住民の効用関数は居場所から施設への直交距離と施設の魅力度の重み付き和で与えられるものと想定する.ここで地域住民にもたらされる便益を,期待最大効用の地域全体での平均値によって計測するものとし,その最大化問題を考える.結果として,最適配置に分散相と凝集相が存在することが証明される.相転移の臨界点は,地域のモビリティ水準と需要分布の特性に依存する.
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浅野 純一郎
原稿種別: 研究論文
2021 年 56 巻 1 号 p.
178-188
発行日: 2021/04/25
公開日: 2021/04/25
ジャーナル
フリー
本研究は、集落地域整備法制定から30年が過ぎ、依然活用が低調に留まる現状を踏まえ、調整区域の開発管理の観点から集落地区計画を捉え、集落地区計画導入地区の現在の状況や他の緩和手法との関係性から調整区域の開発許可制度運用に与えた影響を明らかにすることを目的とする。適用した当該自治体では、圃場整備等営農環境が改善されたことを根拠に概ね当初の目標は達成したと評価しているものの、既存集落の環境改善や新規住宅供給等を個別に見ると、集落地区施設の整備は低調であり、地方都市を中心に宅地整備地区の充足がなされない地区も見られる。集落地区計画の後、市街化調整区域の開発許可制度緩和手法が充実する中で、集落法適用事例においても後続の制度の活用の仕方に格差があることを示した。以上の分析を踏まえ、調整区域の土地利用管理のあり方や集落法適用の今後のあり方を考察した。
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地方中規模都市の既成市街地におけるコンパクトシティ構築の観点から
堀籠 悠河, 窪田 亜矢, 益邑 明伸
原稿種別: 研究論文
2021 年 56 巻 1 号 p.
189-200
発行日: 2021/04/25
公開日: 2021/04/25
ジャーナル
フリー
本研究は、特定の区域における最寄り品アクセス環境の把握において、特定の距離圏を徒歩圏として想定する従来の手法に不足する視点を考慮することで、より精緻な把握が可能となることを示している。本研究で提案する「包含率線」は、個々人の移動能力を考慮に入れた任意の距離圏とこれに含まれる区域内人口割合の関係を図示したもので、居住者ごとの移動可能距離の差異を考慮に入れた分析が可能となる。区域内の最寄り品アクセス環境は、「包含率線」全体のふるまいで把握できるが、市街化区域・ DID ・立地適正化計画の誘導区域の三区域の差異もそれぞれの「包含率線」を比較により明らかにできる。また、同一地区における高齢者・非高齢者の「包含率線」は一致し、高齢化率の高い地区は偏在する一方で、全体的には高齢・非高齢者は同程度に包含されていた。そして、既存手法の有効性も一定程度確認された。
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野原 卓, 宋 俊煥, 泉山 塁威, 木原 一郎
原稿種別: 研究論文
2021 年 56 巻 1 号 p.
201-216
発行日: 2021/04/25
公開日: 2021/04/25
ジャーナル
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都心部のストリートにおいて整備・管理運営・利活用等を総合的に行うストリートマネジメントを継続的に実現するには、ストリートマネジメント主体の形成もしくは醸成が重要になる。本論では、ストリートマネジメントプロセスを①初動期、②主体形成(醸成)期、③主体発展期という段階で整理し、また、マネジメントに関わる主体の役割を、①意思決定、②運営、③管理、④活用、⑤支援の5つで仮説的に整理した結果、ストリートマネジメントの主体形成(醸成)を円滑に行うためには、(1)マネジメント実働主体(特に運営主体)が形成・醸成される環境づくりの工夫、(2)合意形成を円滑にするためのワークショップ・シミュレーション・実験等の丁寧なプロセスと支援、(3)意思決定を円滑に行うための多主体を巻き込んだ包括的なプラットフォームの形成と行政の受け皿、(4)方向性共有のためのビジョン構築と共有プロセス、(5)発展期における活用・支援を通じた多主体への拡張、 (6)運営と実行を柔軟かつ機動力を持って行う体制、などが重要となることが明らかになった。
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