都市計画論文集
Online ISSN : 2185-0593
Print ISSN : 0916-0647
ISSN-L : 0916-0647
木製バリアフリー歩道における視覚障害者の歩行支援機能の検証
屋外試験歩道の2つの舗装における歩行行動の比較から
羽野 暁樋口 明彦榎本 碧原田 大史佐々木 裕大
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2021 年 56 巻 1 号 p. 32-42

詳細
抄録

屋外空間における視覚障害者の歩行支援として、筆者らは白杖の打音を用いた音による誘導に着眼し、一般的な舗装材と音響特性が異なる木材を舗装に用いた「木製バリアフリー歩道」を考案した。本研究は、この開発研究における最終フェーズとして、実用化標準断面に基づき屋外に実装した試験歩道において42名の視覚障害者を対象に歩行実験を実施し、行動観察により歩行支援機能を検証したものである。アスファルト舗装部とスギ板舗装部の二種類の舗装区間にて実験した結果、アスファルト舗装部を開始点とした歩行実験において27名の被験者が歩車道境界に近づき7名の被験者が車道に飛び出した。一方、スギ板舗装部を開始点とした歩行実験においては26名が歩車道境界に近づいたが、車道への飛び出しを全員が回避した。さらに、歩車道境界を白杖のみで認識し足踏を必要としない被験者が、アスファルト舗装部と比較してスギ板舗装部においてより多く確認できた。これらより、スギ板舗装がアスファルト舗装と比較して視覚障害者の車道飛び出し防止に有効であることが分かった。

著者関連情報
© (c) 日本都市計画学会
前の記事 次の記事
feedback
Top