2021 年 56 巻 1 号 p. 73-84
本研究では,津波,地震,洪水,土砂災害の四災害について,現在と将来における災害曝露人口を算出し,その経年的変化を定量的に明らかにした.また,同様の分析を都市圏別,都市計画上の地域区分別に行うことで,災害リスクの変化をより詳細に評価した.そして,現在の将来人口推計よりも,さらに三大都市圏に人口が集中した場合,ならびに,地方に人口がより分散した場合について,災害曝露人口の増減を推計した.その結果,三大都市圏に人口が集中した場合,仮に被害レベルを考慮した上で人口の移動を誘導したとしても,四災害全ての災害リスクを低下させることはできないが,地方に人口が分散した場合,四災害全ての災害リスクを低下させることが可能であることを明らかにした.