本稿では都市農業の市場外流通(直売、契約販売など)をまちづくり団体が支援する例に注目し、支援の展開過程を解明した上で、その特徴や課題を考察した。支援の担い手として、NPO(柏市)とネットワーク型組織(国分寺市)という異なるまちづくり団体に注目し、両者を対比的に分析した結果、以下の点が明らかになった。1)流通支援は直売所運営などの直接的支援と消費者への情報提供などの間接的支援に分類され、柏市は直接的支援が中心であったのに対し、国分寺市は両方の支援が幅広く行われた。2) 柏市は支援にあたって組織化を積極的に推進したのに対し、国分寺市では個人が立ち上げる事業の集合体へと展開した。3) 柏市は直接的支援の事業の安定化に成功したが、支援の中核的主体の多様化が課題である。一方国分寺市では、個人による柔軟で機動的な支援が行われたが、収益性確保や支援の安定化が課題である。