2021 年 56 巻 3 号 p. 1467-1472
東京都では防災都市づくり推進計画において木密地域の中でも優先して整備する整備地域を定めている。木密地域は区界を超え広がっており、合理的かつ面的な防災まちづくりが必要である。そのためには隣接区同士で区界付近の課題を共有し、各区の計画に反映することが重要である。そこで本研究では、各区における区界での計画策定状況、隣接区との連携の実態調査を通し、複数区に跨る整備地域での木密地域の課題解決に向けた方策を明らかにする。各区の整備計画(道路網)は、都市計画マスタープランを前提に自区内で完結できる道路計画を策定する傾向になることが明らかになった。現在の区による独自の不燃化特区の指定方法や、東京都のみとやり取りを行う整備計画の策定方針では、特に防災生活道路計画において隣区との方針に矛盾が生じていることが明らかになった。その結果、区界での木密事業において整合がとられていない場合がある。