都市計画論文集
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アムステルダム市のオーバーツーリズム対策
新型コロナウイルス感染症流行前後に導入された土地利用規制を中心に
坪原 紳二
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ジャーナル オープンアクセス

2022 年 57 巻 1 号 p. 76-89

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抄録

アムステルダム市は2010年代半ばより、オーバーツーリズム対策を土地利用、交通、景観等多様な分野にわたり実施してきた。新型コロナウイルス感染症流行後においても対策を維持し、さらにむしろ強化する方向を打ち出している。そこで本稿は、主として土地利用規制に焦点を当て、アムステルダム市がこれまで実施してきたオーバーツーリズム対策を明らかにし、ポストコロナにおける日本の観光地を考えるうえでの示唆を得ることを目的とする。同市は中心市街地において、地区土地利用計画によって新たな観光客向け店舗の立地を禁止し、またホテルの新設も認めない方針をとっていた。民泊とB&Bについては、住宅ストックを守る視点から、居住機能を維持することを求めていた。飲食店に対しては、コロナ対策としてテラスの拡張手続きを緩和したが、中心市街地の住環境を守るための措置も盛り込んでいた。2020年末に提案した計画は、観光規制の枠を超える施策も視野に、中心市街地を市民が生活する場に転換することをめざしていた。

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