都市計画論文集
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ついで型施設投票モデル
民意と最適の施設配置齟齬に着目して
小林 隆史堀 龍一大澤 義明
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ジャーナル オープンアクセス

2022 年 57 巻 3 号 p. 1018-1024

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抄録

本研究では,フロー需要を想定する「ついで型施設」に対し,投票による判断が公共施設の供給数や配置場所決定にどのように影響するかを,コンドルセの2段階投票モデルを用いて分析する.住民は施設が生み出す利益を享受するが,維持管理費の負担のために一律の税金が課せられているとする. その上で居住地とフロー需要の起点と終点に基づく,2種類の投票方式を想定し分析したことで以下の知見を得た.第一に,社会費用最小となる施設配置と比べたとき,投票による施設配置は2種類の投票方式の違いにより,過剰供給と過少供給の真逆の状況となること.第二に,社会費用の乖離度合は,上述の投票方式の違いよりも,施設を「ついで型」と想定するか,居住地との往復で交通費が求まる「わざわざ型」と想定するかの影響の方が大きいこと.よって,計画段階での施設の利用方法の想定が重要であることを数量的に確認できた.

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