都市計画論文集
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部分的最小二乗回帰を用いた地域間人口移動要因の分析
織田澤 利守嘉祥寺 巧真
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2022 年 57 巻 3 号 p. 1140-1147

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抄録

本研究では,人々による地域間移住パターンを明らかにするために,人口移動の決定要因を特定することを目的とする.部分的最小二乗回帰を用いた新たな方法を提案し,従来手法の課題であった多重共線性や主成分の抽出の際に重要な情報が捨象される問題を回避できることを示した.京阪神都市圏の122市区間の移住データを用いた推定の結果,移住先地域を選択する主な要因は,(1) 近接する地域であること,(2) 都市的サービスの水準がより高い地域であること,(3) 大学が多く立地する地域であること,(4) 密集度の高い既成市街地であることが明らかとなった.さらに,若年世代(20-24歳)を対象とした推定から,全世代と共有の要因の他に,大学進学や就職が若年世代の人口移動に大きく影響することが明らかとなった.以上は,地方政府による人口政策・都市政策における「証拠に基づく政策立案(Evidence-Based Policy Making; EBPM)に資する成果である.

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© (c) 日本都市計画学会
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