都市計画論文集
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居住環境の変化が被災障害者へ与えた影響と対応方法に関する研究
東日本大震災発災から半年間の被災地障害者センターにおける個別支援記録の分析より
古山 周太郎
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ジャーナル オープンアクセス

2022 年 57 巻 3 号 p. 824-831

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抄録

本研究は、東日本大震災での被災障害者への支援実態をもとに、居住環境の変化の影響を把握し、その対応方法の特徴を明らかにすることを目的とする。研究方法は、被災した障害者89ケースへの支援記録をもとに、背景・要因、支援ニーズ、対応方法を分類した。  本研究の結果は次の通りである。 ①被災障害者のニーズは、生活・介護物資のニーズを除くと、居住環境に関連するニーズが、生活や福祉関連のニーズよりも多かった。また、居住環境の変化が様々なニーズの背景・要因となっており、同時に生活状況の変化や本人の障害特性や健康状態が、居住環境に関連するニーズを生じさせる事例も少なくなかった。 ②対応方法をみると、個別の状況に応じて対応方法をとっていた。なかでも居住環境に関連するニーズへは、負の影響を受けた居住環境に働きかける対応方法に加え、背景・要因を含めニーズに対応する多様な方法をとっていた。 ③仮設住宅や自宅避難時のニーズに対し、他組織との連携を進めるためには、関係組織が被災障害者への居住環境の影響を理解する必要があり、被災後の柔軟な移動支援や身体介助の提供方法の検討が求められる。

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