2023 年 58 巻 2 号 p. 153-160
人口減少期にある日本では,大都市圏においても急速な高齢化や転出に伴う空き家・空き地の増大が予想される.本研究では,人口動態の異なる東京・大阪・広島・福岡の4つの都市圏を対象に,空き家予防の観点から,将来(2030年)の空き家の立地状況について推計し,その空間構造を小地域単位かつ都市圏規模で明らかにした.特に,ミクロな空間スケールでの地理的および社会人口学的特性が把握できるジオデモグラフィクスを活用することで,都市圏内部の多様性や都市圏間の特徴の違いが定量的に示された.地区特性によって空き家化の進行の度合いや要因は異なることから,空き家問題に携わる自治体や民間事業者等においては,将来的に空き家対策に取り組むべき優先地域を特定し,地区レベルの特性に応じた空き家予防策を展開してくことが求められる.