明治維新後、各都道府県の行政機関の中枢機能として都道府県庁(以下県庁)が置かれたが、その後施設の狭隘化や老朽化といった課題への対応に迫られ、いくつかの県では県庁舎の移転を行った。本研究では、県庁移転の概要と経緯を整理し、移転先の立地として中心市街地内、中心市街地近郊と郊外があることを明らかにした。そのうえで、移転した県庁舎周辺地区の特性を明らかにした。県庁舎周辺地区には、県庁や県議会に直接関係のある事業所に加え、県全域にサービスを行う産業が集積しやすいことがわかった。また、県庁に関連する産業の集積が共通してみられた典型的な県庁周辺地区では、県庁建設用地取得時から周囲に関連する事業所が立地できる街区が存在し、地区計画等で拠点の形成を促す施策がとられていた。