2024 年 59 巻 3 号 p. 595-602
日本での再開発事業はこれまで様々な公共貢献を伴って行われてきたが、近年では学校建て替えを伴うものが見られる。しかし、学校建て替えを伴う再開発事業における具体的な成立経緯の大部分は明らかになっていない。本研究は、東京都中央区城東小学校と東京都渋谷区神南小学校の事例から学校改築を伴う再開発事業を5つの観点から分析し、関連する課題の考察を行う。地方自治体や事業者へのインタビュー調査、文献調査の結果より、学校の老朽化が事業成立に寄与していること、建て替え手法に相違があること、設計プロセスや物的環境に特徴が現れること、改築費用削減が地方自治体にとっての事業参入効果になることが明らかになった。