2025 年 60 巻 3 号 p. 885-892
本研究では,目的地における魅力度を評価する指標である滞在時間に焦点をあて,交通系ICカードの利用履歴データを用いて簡便的に都心部における滞在時間を把握する方法を提案した.そして,混合分布モデルを活用してクラスタリングを行い,COVID-19の事前,発生中,事後に着目した都心滞在時間の特徴把握を行なった.その結果,平日と土日祝日とではその傾向が異なっていることがわかった.平日はCOVID-19の事前から発生中,事後を経験することによって,長時間滞在が減少し,中時間滞在が増加していることがわかった.特に,滞在パターンが画一化しつつあることが示唆された.一方の土日祝日については,COVID-19の事後は事前の回遊パターンに戻ってきたようであるが,事後のトリップ数が減少した層が長時間滞在者であったことが示唆された.