1965 年 18 巻 2 号 p. 56-60
本論文の要旨は, 昭和39年3月25日東京虎ノ門病院における第159回日本抗生物質学術協議会臨床部会ならびに昭和39年6月11日東北大学において開催された第12回日本化学療法学会総会“Lincomycinシンポジウム”基礎部門にて報告したものの一部である。
Lincomycinは1962年, 米国アップジョン社研究陣MASON, DEBOERおよびDIETZによつて新放線菌Streptomyces limolnensis var. lincolnensisの培養液から得られた新抗生物質である。
私共はこのLincomycin (以下, LCMと略す) について, その抗菌力, 抗菌スペクトラムおよび患者分離病原ブドウ球菌に対する感受性, 抗菌作用に及ぼす諸因子の影響, 交叉耐性の問題, 試験管内抗菌作用の型式, マウス実験的感染症に対する治療効果, 耐性獲得状態などの諸種細菌学的な基礎研究をおこない2, 3の知見が得られたのでここに報告する。