日本土木史研究発表会論文集
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古代地域計画の原理その2尺度論
オリエント起源の大和尺の発見
木村 俊晃
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キーワード: 古代, 尺度, 測量
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1983 年 3 巻 p. 119-125

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抄録

昨昭和57年度の「その1対称論」では、崇神・応神・仁徳陵古墳など大和朝廷の主要古墳を含む「大和計画」、箪者が新らたに提案した仁徳天皇の難波高津宮を含む「仁徳計画」の存在を地形図による遺跡等の位置関係 (地点間の方向と長さ) の分析によって明らかにし、これらの各計画が大阪湾沿岸一帯の山地地形 (とくに400~500mの等高線の形状) の対称性を把握した上で驚くべき高精度で設定されていることを示し、古代日本における高度測地技術の存在を推定した。
その際、正しく東西に向いた総延長約43.3kmの大和計画中心線からは29, 60cmのいわゆる唐尺、南北に対して26.5°傾斜し総延長約34.0kmの仁徳計画中心線からは新規に31.37cm尺を検出し、とくに後者は崇神陵から石舞台古墳まで大和朝廷の主要古墳の基準尺となっているらしいことを提示した。
今回は、「その2尺度論」として、大和朝廷ゆかりの前方後円墳の長さ・後円部直径および前方部幅などについてさらに詳しく分析し、31.37cm尺が大和朝廷の尺度系の基本となっていることをさらに明確にするとともに、その年代的・地域的変遷を解明し、さらにエジプト・ペルシャ・ギリシャ・ローマ・中国など古代世界の尺度系との深い関係を論じて、「大和尺」ともいうべき31.37cm尺の世界史的意義を明らかにした。

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