抄録
前回 (第4回) の本研究発表において、日本の幹線道路網の歴史的変遷を概観し、特に古代七道駅路と現代高速道路との間に種々の特性において顕著な相似性のあることを明らかにした。今回はそれら諸特性のうち「路線位置」に着目し、その観点からは、実質的に (1) 古代路 (2) 街道 (3) 高速道路の3区分によることが妥当であることを示し、それらの時代的特性を考察する。また具体的事例研究として、九州佐賀平野における古代路、街道および高速道路の路線位置の変遷に着目し、古代路と高速道路の相似性が、両者の持つ広域連絡網という基本的共通性と、同地域の平野の形成の歴史的過程の両者から由来するものであることを論考する。