抄録
本研究は、わが国における近代水道以前の水道の一つである高松水道の施設構造と水利用形態、管理運営およびわが国水道史上の位置について考察したものである。本水道は香川県高松市の旧城下町にあり、旧香東川河床と推定される砂れき層に水源井戸 (集水兼配水池) を設け、木樋などで配水し辻井戸および各戸の内井戸に貯留利用する複数系統の水道の総称である。その施設構造は近江八幡水道に類似しており、管理運営にも共通点がみられる。本水道の創設は1644 (正保元) 年であり、わが国最初の早川上水 (1545年創設?) から数えて17番目と必ずしも古いものといえないが、河川以外の水源 (浅層地下水、湧水) を持ち、町人居住区へ配水する (武家屋敷には別系統の配水をする) 公設のものとして一番最初のものである。しかも、当初から暗渠配水を行ない井戸に貯留する形態を持つていたと考えられる。