抄録
「満州国」が中央政府直轄で都市建設を実行したのは、新京と大東港の2都市である。前者は新首都の建設であり、後者は大規模な臨海工業都市の建設であった。
大東港は朝鮮と国境を流れる鴨緑江の河口帯に計画された。大東港の計画はぐ満州唯一の不凍港をこの地に建設し、地下資源と水力発電を活かして、人口100万人の臨海工業都市を新規に建設しようとするものであった。
この計画岸信介、直倫太郎の支持によって進められ、現地機関では近藤三郎、黒田重治、米田正文らが事業を推進した。
大東港にられる港湾と工業地帯のセット開発、高速道路の建設、土地経営による事業償還などの方式は、戦後日本の大規模開発プロジェクトの方式を先取りしていたと言えるものである。