土木史研究
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畿内の遺構配置にみる古代の土木技術 (その1)
都市計画基本線の存在
須股 孝信
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キーワード: 古代, 測量, 都市計画
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1990 年 10 巻 p. 307-318

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抄録

古代の前方後円墳は, その形状からみて幾何学と高度な施工技術によって築造された土木構造物であり, その技術と同レベルの測量技術も古墳時代に存在したと考えられる. それらを裏付ける事象として, 古代の著名遺跡や古墳を結ぶ線分には正しく東西・南北を指すもの, それらの方位に対して30°, 60°の角度を振った方位を指すものの事例が多い.
本稿は, それらの事象の中から同一子午線上に置かれた陵と都宮の一例を示し, 古代の都宮の配置にみられる幾何学的な特性から, それらの方位あるいは角度が用いられた理由を考察した. 結果では, 30°, 60°角をもつ直角三角形の相似特性を利用した測量行為であったと結論するに至り, 点在する古代の著名遺跡や古墳の位置相互の関係から, 古代の畿内に東西・南北の直交座標軸が設定され, この座標軸を基準にした都市計画基本線ともいえる雄大な計画線の存在を提唱し, 座標軸設定の方法を明らかにした.

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