土木史研究
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品川台場石垣の構造について
大野 善雄
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キーワード: 石垣, 寺勾配, 海上遺構
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1992 年 12 巻 p. 395-402

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抄録

品川台場は幕末外国船の頻繁な来航に備えて江戸の護りを堅める必要から、江戸幕府が最後の国家的事業として、西欧式の築城術を取り入れて築造したわが最初の本格的な近代城郭で、当時の内外の知識(軍学)とわが国古来の石積技術を結集して出来上がったわが国最初のそして最後の海上遺構ということが出来る。当時品川海岸台場を含めて計7基の台場が築造されたが、その後東京湾の開発の歴史の中で撤去あるいは埋立地に埋没して現存するのは第三台場、第六台場のみで、両者とも史跡に指定されている。品川台場に対する土木技術としての関心は石垣にあるが、建設後一世紀余りを経て変状も著しく、最近修復に関連した調査が行われた。しかし、修復に当っての重要な情報である石垣の構造の詳細を知り得る図面等の資料は殆どなく、また、第三台場など変状が著しく現状から当初の形状を推定することは困難な状況であった。この報告は、文献による微かな手掛りと現況の実測結果、石垣技術の研究書などによる知識を基に総合的に検討し、台場石垣の構造および形状の推定を試みたものである。

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