1993 年 13 巻 p. 501-515
地下鉄は都市における大量高速交通機関として世界の多くの都市で導入されているが、その詳細は地域間および建設年代間により異なる。本研究ではこれらの相違点に地下鉄路線計画の段階における計画者の考え方、すなわち計画思想が大きく影響していると考え、この変遷を東京の地下鉄を対象に特に建設年代間の相違に着目して明らかにしようと試みたものである。なお、本研究は従来の研究のように計画思想を概括的にとらえるのではなく、まず計画思想を工学的に定義し、実現された計画案の計量的なデータを時系列的に相対比較することによってその歴史的変遷を客観的に把握した。その結果、東京の地下鉄各路線は基本的に経営採算性および経済的効率性を重視しながらこれまでほぼ一貫した計画思想のもとに建設されてきたことが明らかになった。