心臓
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第26回 心臓性急死研究会
薬剤性QT延長症候群が疑われた高齢男性の1例
百名 洋平平島 祐太朗加耒 秀隆菊池 幹瀬筒 康弘橋本 亨相良 洋治宮田 健二折口 秀樹毛利 正博山本 英雄吉村 仁野間 充多治見 司
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2014 年 46 巻 SUPPL.2 号 p. S2_110-S2_113

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抄録
 症例は82歳, 男性. 高血圧症, 糖尿病, 認知症に対して近医で外来加療を受けている. 半年前から安静時胸部絞扼感のような訴えがあり, 1~2分程度で改善していたとのことであった. 入院当日午前, 自宅で安静時に胸が苦しいと家族に訴え, 安静で改善しないためかかりつけ医を受診した. かかりつけ医受診時は症状は改善していたが, 不安定狭心症を疑われ当院紹介となった. 心筋逸脱酵素の上昇なく, 心エコー, タリウム心筋血流シンチグラフィで虚血を疑う所見を認めなかったため, 入院4日目に退院とした. ところが, 同日安静時に痙攣を伴う突然の意識消失発作を認めたため当院へ搬送された. 搬送時の心電図でQTc=650msと延長しており, 4日前の心電図と比較してQT延長が顕在化していた. 服薬歴からドネペジル塩酸塩による薬剤性QT延長症候群を疑い, 内服を中止した. 心電図モニターで失神をきたすような不整脈の出現を認めず, QT時間も経時的に短縮した. 今回, ドネペジル塩酸塩によると思われるQT延長症候群が疑われた症例を経験したため報告する.
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© 2014 公益財団法人 日本心臓財団
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