1995 年 15 巻 p. 187-194
本研究では、明治末期から昭和初期にかけての東京地域の私鉄における兼業について把握するとともに、兼業が本業に対してどのような役割を果たしたのかを実証的に分析することを試みた。
東京地域に成立した私鉄において積極的に兼業を行なった会社の成立に至る経緯や背景を整理し、各社の事業別収入の推移、収益率の面から各事業を比較し分析を行ない、各事業の性格をまとめた。
その結果、本業に対して兼業の果たした役割は、経営の安定化への内部補助、また兼業によって鉄道需要の喚起であったことが実証された。