1998 年 18 巻 p. 503-512
城郭の規模や立体的な構成についての研究は、史学的な面から行われ、技術的な面からの数量的な考察は余り進んでいないのが現状である。本研究では、城郭の規模や、立体的構成、部分構成の規模に焦点を当て、「正保城絵図」、1/2500国土基本図より城郭の寸法、面積、標高等の数量データを抽出し、実際の築城と軍学の影響の関係を検討した。
結論として、甲州流系の軍学の城の規模を表す数値は、近世城郭よりも中世城郭に当てはまりやすい。城郭の建設史をふまえて立体的な構成を検討することによって、「山城の平山城化」を数量的に解説することができた。また、個々の城郭の個性が色濃くデータに反映されるために、一般的な関係は認められるものの、個性を重視して読みとることが大切であるということがわかった。