土木史研究
Online ISSN : 1884-8141
Print ISSN : 0916-7293
ISSN-L : 0916-7293
手掘り中山隧道
藤原 俊雄南木 均
著者情報
キーワード: 手掘り, 隧道
ジャーナル フリー

1999 年 19 巻 p. 361-366

詳細
抄録
中山隧道は新潟県の山間地、山古志村小松倉地区に在り、1998年12月に新トンネルが開通して50年間余の大役を終えた。手掘り隧道建設以前の小松倉は集落戸数が60戸余り、生活の不便はいうにおよばず、積雪深4m以上となる冬季には医療の恩恵を受けられぬまま生命の危険にさらされていた。
地域社会の将来を考え、集落の人々は私財を投げうち、自らの手でツルハシを握り、長さ約1kmに及ぶ全国一の手掘り隧道を昭和8年から16年間の歳月をかけて掘り抜いた。
住民の力にあまる長大な隧道を自らの手で造り上げた精神と行為は、改めて社会資本の意義、役割を考えさせる貴重な土木遺産であり、さまざまな角度から研究するに値する遺産である。
著者関連情報
© 社団法人 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top